ビジネスわかったランド (営業・販売)
貿易事務
輸出信用状を読む際の留意点は
内容に間違いないか、あるいは契約書の内容と一致しているかどうかなどをきちんと確かめる。
輸出契約が終わると、やがて海外の輸入者が輸入地の銀行で開設した信用状(L/C)が、輸出地の通知銀行を経由して送られてくる。
輸出者にとって信用状は、輸出代金の支払保証書であるから、信用状の条件に従って正しく貨物を出荷すれば間違いなく輸出代金が回収できるが、信用状を入手したら、その内容に間違いがないかどうか、あるいは事前に輸入者と取り交わした契約書の内容と一致しているかどうかなど確かめておく必要がある。
それから、貨物を出荷した後で、信用状の記載に基づいて荷為替手形を振り出し、信用状に書いてある書類を揃えて買取手続きをする必要があるので、入手した信用状の記載事項を正確に把握しておこう。
信用状というのは、かなり厳密な手紙であり、信用状の記載事項を読み違えたり読み落としたりすると買取手続きができない場合がある。したがって、信用状に書いてあることは100%完全に読みこなして実行することが大切である。
次に掲げる輸出のための信用状は、Full Cableで通知されたCable Adviceの信用状の見本である。
上掲の輸出の信用状の見本の内容は、次のとおり。
(1)THE BANK OF △△△△が、この信用状の開設銀行である。
IRREVOCABLE DOCUMENTARY CREDITにより、この信用状は取消不能・変更不能の荷為替信用状であることがわかる。
NO.3005は、信用状番号、 DATE OF ISSUEは、開設年月日である。
(2)TO : ×××× BANKING CORPORATION により、この信用状が、開設銀行である△△△△銀行から××××銀行を通知銀行として通知されたものであることがわかる。
FOR AMOUNT OF US$ 1,000,000.00は、信用状金額である。
間違いのないように、同じ金額が文字で100万ドルと確認してある。
(3)PLEASE ADVICE TO EXP CO LTD……は、「この信用状をEXP CO LTDに通知してください」という意味であるが、これによりEXP社が輸出者であることがわかる。
(4)DEAR SIR(S),で始まる文章は、この信用状の頭書に相当する文章であるが意味は次のようになる。
「この信用状の開設銀行は、IMP社の勘定で取消不能・変更不能の荷為替用状を開設いたしました」
これにより、輸入者の名前と住所が確認される。
(5)AVAILABLE BY DRAFT(S)の意味は、「この信用状は、開設銀行を名宛人とした、インボイス金額に相当する金額の、一覧払いの手形の買取手続きにより、輸出者は輸出代金を回収できる信用状です」
ACCOMPANIED : 以下には、買取手続きに必要な添付書類が指示されている。具体的には次のような書類が要求されている。
・輸出者のサインのあるインボイスが3通
・運賃元払い・貨物の到着案内の連絡先が輸入者となっていて、荷受人を開設銀行とした無故障の航空貨物運送状
・梱包明細書を2通
・原産地証明書を2通
(6)COVERINGには、この信用状に基づいて輸出されるべき貨物の内容が書いてある。「2005年5月20日付の輸出契約書番号2005に書いてある10万ユニットの半導体」 ということである。
(7)TRADE TERMS(貿易条件)は、運賃保険料込み本船渡し条件である。
SHIPMENT FM ……は、運送区間である。
分割出荷と途中での積替えは禁止されている。
FINAL SHIPMENTは、出荷期限である。
EXPIRY DATEは、信用状の有効期限である。
(8)DRAFTS TO BE NEGOTIATED……は、手形の買取期限である。
「輸出者が輸出代金を回収するためには、出荷の日から10日以内に買取手続きをしてください」という意味である。
ALL BANKING CHARGESは、「アメリカ国外でかかるすべての銀行手数料は輸出者の負担になります」という意味である。
AIR WAYBILL MUST SHOWNは、「航空貨物運送状には、最終仕向地としてBOSTONと記載されていなければなりません」と書いてあるので、輸出者は運送会社に連絡して、そのようなAIR WAYBILLを発行してもらわなければ買取手続きができない。
ALL DOCUMENTS MUST BEARは、「すべての書類には信用状番号が記載されていなければなりません」と書いてあるので、買取手続きに必要なすべての書類(インボイスにも運送書類にも梱包明細書にも原産地証明書にも)に信用状番号が書いていなければ買取手続きができない。
ALL DRAFTS AND DOCUMENTSは、開設銀行から買取銀行に対する指示であるが、「買取銀行で輸出者から買い取ったすべての手形と書類は、連続する2回の航空郵便で直接、開設銀行に送ってください」と書いてある。
(9)THIS DOCUMENTARY CREDIT IS SUBJECT TOは、この信用状が1993年に改正された信用状統一規則に則って開設されたものであることの説明である。
(10)THIS CABLE IS THE OPERATIVE……は、この信用状がFULL CABLEで通知されたCABLE ADVICEであることから、次のような意味になる。
「このCABLE ADVICEは買取手続きができる信用状の証書です。後日、信用状の原本が郵送されることはありませんので、このCABLE ADVICEを使って買取手続きをしてください」
著者
井上 洋(井上貿易事務所代表・貿易コンサルタント)
輸出契約が終わると、やがて海外の輸入者が輸入地の銀行で開設した信用状(L/C)が、輸出地の通知銀行を経由して送られてくる。
輸出者にとって信用状は、輸出代金の支払保証書であるから、信用状の条件に従って正しく貨物を出荷すれば間違いなく輸出代金が回収できるが、信用状を入手したら、その内容に間違いがないかどうか、あるいは事前に輸入者と取り交わした契約書の内容と一致しているかどうかなど確かめておく必要がある。
それから、貨物を出荷した後で、信用状の記載に基づいて荷為替手形を振り出し、信用状に書いてある書類を揃えて買取手続きをする必要があるので、入手した信用状の記載事項を正確に把握しておこう。
信用状というのは、かなり厳密な手紙であり、信用状の記載事項を読み違えたり読み落としたりすると買取手続きができない場合がある。したがって、信用状に書いてあることは100%完全に読みこなして実行することが大切である。
次に掲げる輸出のための信用状は、Full Cableで通知されたCable Adviceの信用状の見本である。
上掲の輸出の信用状の見本の内容は、次のとおり。
(1)THE BANK OF △△△△が、この信用状の開設銀行である。
IRREVOCABLE DOCUMENTARY CREDITにより、この信用状は取消不能・変更不能の荷為替信用状であることがわかる。
NO.3005は、信用状番号、 DATE OF ISSUEは、開設年月日である。
(2)TO : ×××× BANKING CORPORATION により、この信用状が、開設銀行である△△△△銀行から××××銀行を通知銀行として通知されたものであることがわかる。
FOR AMOUNT OF US$ 1,000,000.00は、信用状金額である。
間違いのないように、同じ金額が文字で100万ドルと確認してある。
(3)PLEASE ADVICE TO EXP CO LTD……は、「この信用状をEXP CO LTDに通知してください」という意味であるが、これによりEXP社が輸出者であることがわかる。
(4)DEAR SIR(S),で始まる文章は、この信用状の頭書に相当する文章であるが意味は次のようになる。
「この信用状の開設銀行は、IMP社の勘定で取消不能・変更不能の荷為替用状を開設いたしました」
これにより、輸入者の名前と住所が確認される。
(5)AVAILABLE BY DRAFT(S)の意味は、「この信用状は、開設銀行を名宛人とした、インボイス金額に相当する金額の、一覧払いの手形の買取手続きにより、輸出者は輸出代金を回収できる信用状です」
ACCOMPANIED : 以下には、買取手続きに必要な添付書類が指示されている。具体的には次のような書類が要求されている。
・輸出者のサインのあるインボイスが3通
・運賃元払い・貨物の到着案内の連絡先が輸入者となっていて、荷受人を開設銀行とした無故障の航空貨物運送状
・梱包明細書を2通
・原産地証明書を2通
(6)COVERINGには、この信用状に基づいて輸出されるべき貨物の内容が書いてある。「2005年5月20日付の輸出契約書番号2005に書いてある10万ユニットの半導体」 ということである。
(7)TRADE TERMS(貿易条件)は、運賃保険料込み本船渡し条件である。
SHIPMENT FM ……は、運送区間である。
分割出荷と途中での積替えは禁止されている。
FINAL SHIPMENTは、出荷期限である。
EXPIRY DATEは、信用状の有効期限である。
(8)DRAFTS TO BE NEGOTIATED……は、手形の買取期限である。
「輸出者が輸出代金を回収するためには、出荷の日から10日以内に買取手続きをしてください」という意味である。
ALL BANKING CHARGESは、「アメリカ国外でかかるすべての銀行手数料は輸出者の負担になります」という意味である。
AIR WAYBILL MUST SHOWNは、「航空貨物運送状には、最終仕向地としてBOSTONと記載されていなければなりません」と書いてあるので、輸出者は運送会社に連絡して、そのようなAIR WAYBILLを発行してもらわなければ買取手続きができない。
ALL DOCUMENTS MUST BEARは、「すべての書類には信用状番号が記載されていなければなりません」と書いてあるので、買取手続きに必要なすべての書類(インボイスにも運送書類にも梱包明細書にも原産地証明書にも)に信用状番号が書いていなければ買取手続きができない。
ALL DRAFTS AND DOCUMENTSは、開設銀行から買取銀行に対する指示であるが、「買取銀行で輸出者から買い取ったすべての手形と書類は、連続する2回の航空郵便で直接、開設銀行に送ってください」と書いてある。
(9)THIS DOCUMENTARY CREDIT IS SUBJECT TOは、この信用状が1993年に改正された信用状統一規則に則って開設されたものであることの説明である。
(10)THIS CABLE IS THE OPERATIVE……は、この信用状がFULL CABLEで通知されたCABLE ADVICEであることから、次のような意味になる。
「このCABLE ADVICEは買取手続きができる信用状の証書です。後日、信用状の原本が郵送されることはありませんので、このCABLE ADVICEを使って買取手続きをしてください」
著者
井上 洋(井上貿易事務所代表・貿易コンサルタント)
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