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貿易事務

貨物の出荷と案内は
 貨物と出荷を指示する出荷指図書、輸出申告書を作成・提出し、それに基づいて発行された運送書類を受け取った後、輸入者に出荷案内を送る。

貨物と船積書類の用意ができたら、それらを通関業者に引き渡し、輸出通関手続きと出荷の手配を依頼する。その際に出荷指図書(SHIPPING INSTRUCTION)を作成して通関業者に渡しておく。

出荷指図書
出荷指図書というのは、運送会社が貨物と引換えに発行する運送書類(B/L、AWB)を作成するために必要な情報を提供するとともに、通関業者と運送会社に対して輸出通関手続きと貨物の出荷の手配を依頼するために作成する書類である(図表1参照)。

上掲の出荷指図書の見本の内容は、次のとおり。
「下記の詳細にしたがって、輸出通関手続きと船積みの手配をお願いいたします」という趣旨で、出荷に必要と思われる下記のような情報を記載して作成する。
・INVOICE NO.(インボイス番号)
・SHIPPER(輸出者の名前)
・DESTINATION(仕向地)
・CONSIGNEE(荷受人の名前)
・NOTIFY PARTY(貨物の到着案内の連絡先)
・L/C NO. DATE(信用状の番号と開設年月日)
・EXPIRY DATE(信用状の有効期限)
・FINAL SHIPMENT(出荷期限)
・SHIPMENT PER(運送手段)
・PORT OF LOADING(積出し港)
・PORT OF DISCHARGE(荷揚げ港)
・DESCRIPTION OF GOODS(貨物の記述)
・TRADE TERMS(貿易取引条件)
・PACKAGE TOTAL(貨物の数量)
DOCUMENTS ATTACHEDには、この指図書に添付した書類の種類と部数を書いておく。
DOCUMENTS REQUIREDには、通関業者に取り寄せてもらいたい書類の種類と部数を書いておく。
貨物と書類を受け取った通関業者は、輸出通関手続きのために貨物を保税地域に運び、検量業者を手配し、税関に対して輸出申告手続きを行なう。そして、税関から輸出の許可を得た貨物を運送会社に引き渡し出荷を依頼する。さらに、運送会社が貨物と引換えに発行した運送書類を受け取って輸出者に届けてくれることになっている。
貨物が出荷され、運送書類を入手したら、できるだけすみやかに海外の輸入者に対して出荷案内(SHIPPING ADVICE)を送る。

出荷案内
出荷案内は、次の図表1の見本のような手紙に運送書類とINVOICEのコピーを添付してFAXなどで速やかに送る。

上掲の出荷案内の見本の内容は、次のとおり。
「貴社のご注文の貨物を出荷いたしましたので、ご案内申し上げます。インボイスと航空貨物運送状のコピーを添付いたしました。貨物が良好な状態で届くよう祈ります。」

輸出申告書等
なお、輸出通関手続き(輸出申告)は、必要事項を記載した「輸出(積戻し)申告書」(見本は次の図表3)を税関に提出することにより行なうが、添付書類としてINVOICEあるいはそれに代わる書類が必要となる。

上掲の輸出申告書の書き方のポイントは、次のとおり。
【共通事項】
1、記入は、すべて黒色のタイプまたはペンで行なう
2、記入は、和文または英文で行なう
3、訂正するときは、訂正箇所を2本の線で消し込み、訂正箇所の上方に訂正事項を記入し、訂正印を押印する
【各事項】
(1)申告する税関官署の名称を記入
(2)輸出者自身が輸出申告をする場合に、申告者の住所、氏名(原則としてインボイスに記載されている荷送人)を記入、押印
(3)貨物の仕向人(貨物を輸出する相手方)の住所、氏名、(原則としてインボイスに荷受人として記載されている者)を記入
(4)申告する年月日を記入
(5)貨物を積み出す港(空港)の名称を記入
(6)貨物を積載する船の名称(航空機の所属会社名およびAIRWAY BILL NO.を記入)
(7)出港年月日を記入
(8)貨物の最終仕向地および国名を記入
(9)貨物が保管されている場所の名称を記入
(10)承認を受けた場合に記入
(11)税関相談官または窓口の職員に確認して記入
(12)一般的な商品名(たとえば、インボイスの商品名)を記入
(13)輸出統計品目表の番号(6桁)および細分番号(3桁)を記入
(14)輸出統計品目表の統計単位を記入。2つの統計単位がある場合には、その双方を記入
(15)前記(14)の「単位」により表示される数量を記入。その貨物の全量が単位に達しない場合には、左側の白抜き部分に「0」を、単位未満の数値は右側の色刷り部分にそれぞれ記入
(16)FOB価格(本船甲板渡)価格を円建で記入
(17)決済がFOB建以外で総額100万円を超える金額の場合、建値および決済金額をアンダーラインを付して記入
(18)貨物の総個数、外装のマークおよび番号を記入。貨物をコンテナ詰めする場合には「コンテナ詰めする貨物であること」および「コンテナ詰めする場所」を記入
(19)武器関連貨物など、輸出貿易管理令別表第1、1から15項に該当する貨物の場合、該当する項の番号を記入し、「該当」の枠内に×印を記入
(20)麻薬原料、特定有害廃棄物、稀少野生動植物など輸出貿易管理令別表第2に該当する貨物の場合、該当する項と号の番号を記入し、「該当」の枠内に×印を記入。該当しない貨物の場合、「非該当」の枠内に×印を記入
(21)前記(19)、(20)に該当する貨物でも輸出貿易管理令第4条により、許可、承認を必要としない場合、「許可要」の枠内に×印を記入
(22)項の番号として「16」を記入。輸出貿易管理令別表第1の16項に該当し、兵器製造などに用いられる貨物の場合、「許可要」の枠内に×印を記入。輸出貿易管理令別表第1の16項に該当しない場合または該当するが兵器製造などに用いられない貨物の場合、「許可不要」の枠内に×印を記入
(23)輸出許可証などの番号を記入((19)から(23)までの記入の方法がわからない場合、税関相談官または窓口の職員に確認して記入)
(24)輸出の申告に合わせて保税運送の承認を受けようとする場合、該当する区分と運送期間を記入
(25)申告書の枚数と欄数を記入
(26)添付書類に応じて右の枠内「有」の欄に×印を記入
また、貨物の種類により次の書類が必要となる。
・梱包明細書(PACKING LIST)
・他法令に該当する貨物の場合は、他法令の許可・承認証等
・関税定率法等の規定により、関税の軽減、免除または払戻しに関連して輸出申告に際し特定の書類の提出を必要とされている貨物については、その書類
・消費税および地方消費税を除く内国消費税の輸出免税を受ける貨物については、輸出されたことを証明する申請書等

著者
井上 洋(井上貿易事務所代表・貿易コンサルタント)