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売掛金管理と代金回収

「相殺」とは何か
 同種の債権について対当額で消滅するのが相殺だが、担保としての機能が重要です。

●相殺の機能
「相殺」とは、債権者と債務者が、互いに相手に対して同じ種類の債権をもっている場合、それらを双方同じ額(対当額)で消滅させることです。相殺という言葉は、日常的にも使われていますが、法律用語としての相殺は、「同種の債権について」「対当額で消滅する」というところがポイントです。相殺を行なうにあたっては、裁判中に主張することも可能ですが、裁判外での意思表示(内容証明郵便による通知など)でも足ります。
では、相殺の機能とはどのようなものでしょうか。
まず、Aに対して100万円の債権をもつBと、Bに対して100万円の債権をもつAがいた場合を考えてみましょう。このような場合、双方の100万円の債権を対当額で消滅させることで、簡易な決済が可能となります。これが相殺のもつ簡易決済機能です。
しかし、相殺にはより重要な機能があります。それが相殺の担保的機能とよばれるものです。たとえば、銀行が、200万円の預金をもつCに対して金銭の貸付けを行なったとします。Cが弁済期に返済できなかったときには、銀行はCの200万円の預金債権と相殺することによって、貸金債権を確実に回収することができるのです。

●相殺の要件
相殺をするにあたっては、少なくとも相殺をする側がもっている債権(自働債権)の弁済期が到来していることが必要です。民法の条文上は、相殺をなすには双方の債権債務が弁済期にあることが必要とされていますが、相殺をしようとする側が負っている債務、つまり相殺をしようとする側に対して相手方がもっている反対債権(受働債権)については、弁済期の到来は不可欠の要件ではありません。


法律事務所オーセンス
2010年5月末現在の法令等に基づいています。