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売掛金管理と代金回収

担保の上手なとり方は?
 物的担保、人的担保、それぞれに長所・短所があるから、両方の担保をとっておいたほうがよいでしょう。

●物的担保(抵当権)の長所と短所
金銭債権を優先的に回収するためには、担保の存在が欠かせません。担保には、大きく分けて、物的担保と人的担保がありますが、それぞれに特徴があります。
まず、物的担保の長所は、確実性にあります。たとえ債務者が破産して、ほかに債権者が多数いたとしても、抵当権を設定しておけば優先弁済を得ることができます。
物的担保の短所としては、設定・実行するときの煩雑さにあります。抵当権を設定して、第三者に対抗するためには、登記を具備する必要がありますし、抵当権を実行するときにも、法律で手続きが定まっているので、手続きにそって行なう必要があり、自分で勝手に行なうことはできません。
また、担保価値が設定時よりも下がるリスクがあります。たとえば、過去にはバブルの崩壊で不動産の価格が大きく下落したこともありました。

●人的担保(連帯保証)の長所と短所
人的担保の長所は、設定の容易さにあります。連帯保証(契約)は書面による必要があるものの、債権者と連帯保証人の合意があれば、締結することができます。債務者本人の同意も必要ありません。
人的担保の短所としては、物的担保と重なる場合には、物的担保が優先されることです。
また、連帯保証人の資力が、連帯保証契約時よりも下がるというリスクもあります。

●両方の担保をとっておくのが無難
このように、物的担保にも人的担保にもそれぞれ、長所もあれば短所もあります。とくに、それぞれの担保のリスクについては、避けようがないところがあります。
そこで現実には、双方の担保をとっておくことが多く行なわれています。実際に、物上保証人(抵当権が設定される不動産を所有する債務者以外の第三者)と連帯保証人を兼ねる契約が結ばれることもあります。

法律事務所オーセンス
2010年5月末現在の法令等に基づいています。