ビジネスわかったランド (営業・販売)

売掛金管理と代金回収

完全回収のポイントは
 売上偏重からの脱皮こそ完全回収の秘訣である。また、法律知識如何がそれを支える。

売上偏重から回収重視へ
あなたの仕事は「販売」である。そして、その内訳が売込みと回収である、ということについてはわざわざ記す必要もないであろう。
ところが、ここに問題がある。その2つが販売の2本柱である、ということはよく知っていながら、実体を伴っていないケースがあまりにも多いのである。
まず、あなたは、売上目標を立てているはずであるが、回収目標を立てているであろうか。それも漠然とした目標ではなく、売上目標と同じくらいのシビアなものを立てているであろうか。活動にしても同じである。売り込むときのあの緻密な計画、あの手この手を使っての活動の展開。それと同じくらいの努力を回収活動に向けているであろうか。
その他、いかなることを取り上げてみても、すべてがすべて売上偏重になってはいないであろうか。
2本柱であるということを頭では理解していながら、実行されていないのが現状ではないであろうか。成功秘訣の1つに、「知行の一致」が数えられていることを思い出してほしい。
売上偏重の姿勢からの脱皮、これこそが完全回収の第1秘訣であって、すべて「売上実績を上げたいばかりに」という姿勢から、「回収実績を上げたいばかりに」と考え方を変化させていくのだ。
給料は、売上高からではなく、回収した中から払われるということを忘れないでいただきたい。

転ばぬ先の杖―トラブルを未然に防ぐ
回収はよく健康にたとえられる。すなわち、病気に罹ってしまってからでは治療も困難であり、第一に本人が苦しむことになる。確かに腕のよい医者もいるし、よい薬もあろうが、でき得るならば病気に罹らないことが何よりであろう。
回収も同じこと。問題が起きてしまってからでは、処理が大変面倒である。
本来は、有効な活動に向けられるべき時間がそれに食われ、多大なエネルギーが消費される。これほど馬鹿げたことはない。
予想されるトラブルを未然に防ぎ、問題を発生させないようにするのは、営業担当者であるあなた以外にできる人はいない。そして、これが完全回収の第2の秘訣である。

法律による理論武装を
売り込みに法律が関係するケースはなきにしもあらずだが、回収となるとほとんどが法律と関係してくる。したがって、問題の発生を事前に予防するためには、どうしても法律知識が必要となってくる。
とはいっても、決してむずかしいものではない。詳細についてはスペースの関係で記せないが、予防医学がむずかしくないのと同様に、予防法学も簡単な内容ばかりである。要は、それらを1つでも多く、そして正しく覚えればよいのだ。
信じられないかもわからないが、売掛金の時効期間を知っている営業担当者は10%以下である。これでは予防なんてとんでもない話である。あるいは、請求書を出せば時効が中断できる、と信じて疑わない営業担当者が全体の99%を占めるのが現状である。間違いもいいところだ。
回収重視の姿勢とトラブルの防止、加えてそれを支える法律知識、これが完全回収のポイントである。

著者
小堀 肇(経営コンサルタント)
2004年11月末現在の法令等に基づいています。