ビジネスわかったランド (営業・販売)

事務ワーク

顧客情報を上手に整理・活用するには
 せっかく顧客情報を収集しても、すぐに取り出せて、すぐに活用できなくては宝の持ち腐れである。
それぞれの情報の特性に基づいた整理・活用法があるわけだが、そのポイントは、便利な小道具を活用すること、情報は忘れないうちにメモしておくこと、1人よりもグループで情報を収集すること、収集した情報は社内の関係者に流して組織で活用すること、そのためには「情報キャッチレポート」などをつくって使いこなすことなどがある。

<< 名刺による顧客情報の上手な整理・活用法 >>

自分との関係の分類をして入れることがまず整理の第一歩
人に会えば会っただけ名刺が手元に入る。これをプラスチックの名刺入れの容器を使って、無造作に入れておくだけでは収拾がつかなくなる。同じ入れるにしても、自分との関係の分類をして入れることがまず整理の第一歩。

先方の業種別、こちらの商品別などに分類する
分類の項目は、業種にもよるが、まずは先方の業種別、こちらの商品別、とくにポイントになる人、その他、に分けるのが一般的。これがやや進むと、地域別といった形になる。

空き箱の手前に、分類名をラベルに書いて貼り付ける
空き箱の手前に、分類名をラベルに書いて貼り付ける。または名刺の端にサインペンで色を付け、縦に並べたら一目瞭然になる方法もある。やや高等になると市販の名刺バインダー、ホルダーを使って分類整理したり、1枚ずつカードに貼っていくやり方になる。

名刺をもらったらすぐに日付と会った場所などをメモしておく
いずれにしても名刺をもらったらすぐに日付と会った場所、紹介者名を鉛筆ででもメモしておくことが大切だ。次にそれを見て相手を思い出すときの手掛かりになり、話のきっかけにもできる。

名刺の裏に周辺情報をできるだけ多くメモしておく
名刺を受け取ったら、日付や紹介者名を余白に書き込んでおくことはすでに説明したが、できれば裏面に周辺情報をできるだけ多くメモしておくとよい。たとえば、年齢、干支、出身地、出身校、家族、友人、趣味、食べ物の好き嫌い。ある人は、血液型まで書き込んでいる。

メモした情報を再訪問や再売込みのチャンスに使う
これを次回訪問の際の話材に活用することは、いうまでもない。また、家族の生年月日までメモしておければ、誕生日、入学日などが近づいたときは、これを販売のチャンスに応用活用できるというものである。名刺もここまでいけば、もう立派な販売資料である。

<< 印刷物による顧客情報の上手な整理・活用法 >>

印刷物の整理の仕方には3通りある
新聞、雑誌、社内連絡・回覧など、印刷物の整理のやり方には3通りある。1は切抜き、2はコピー、3は転記(メモ)。
切抜きについては、ノートに張り付けるやり方と切り抜いたものを袋に入れたり、ボックスやファイルに入れる方法とがある。コピーも同じだが、切り抜けないものの場合だ。転記は、必要な部分だけを手帳やノート、さらにはカードに転記する方法である。

1か月分程度溜まったら、本当に必要かどうかを再チェックする
いずれにしても1か月分程度溜まったら、真に必要なもの、後日参考になるものなどを再チェックし、不要なものは捨てることが大事。切抜きを溜めて安心するのが目的ではない。

新聞や雑誌を切り抜き、自分の販売活動の基礎データにする
新聞や雑誌を切り抜いて、自分の販売活動の基礎データにする人は多い。つまり、他社の新商品や消費傾向を把握するためで、それはそれなりに必要なことである。

新聞・雑誌から顧客に有益な情報を提供する
ところが、ある営業担当者は、顧客の気づかない顧客の関係する情報を集め、整理し、提供することによってグッドウィル(好感)を受け、販売に結び付けている。

専門誌からの有益情報が狙い目
新聞・雑誌といっても、5大新聞の切抜きなら、すでに先方も切り抜いて先刻知っている。そこで、狙い目は、専門紙。また、雑誌は、著名雑誌から専門誌まで幅広く目配りしておく。案外目に触れていないことが多い。これを持参すれば大いに喜ばれる、というわけだ。スクラップも大いに販促に活用できる。

<< 耳情報による顧客情報の上手な整理・活用法 >>

顧客などから聞いた情報は、忘れないうちに手帳にメモする
アンテナを広く高く張っておくと、いろいろな情報を耳にすることができる。小売店や顧客から聞いた情報は、忘れないうちに早く手帳にメモする。

手帳はミシン目の入ったものが便利
手帳も綴じたものではなく、切り離しが簡単なミシン目の入ったものが便利。これを切り離してノートやカードに貼りやすいからだ。

重要な情報は早く上司や関係者に知らせる
集まった情報は分類して、とくに重要な情報は早く上司や関係者に知らせたり、日報の特記事項欄に記入、レポートすることが大切である。

「情報キャッチレポート」をつくってみよう
簡単に書け、あとの伝達(活用)がうまくいくような「情報キャッチレポート」といった専用の様式のものをつくっておくとよい。情報収集意欲も高まるし、責任をもって書くようになり、さらに活用が効果的になる。

<< 「情報キャッチレポート」のフォームは >>

「情報キャッチレポート」の必要項目は、情報収集日時、入手ルート、内容、活用部門、回覧ルート、必要措置などである。
次に、「情報キャッチレポート」のフォームの例を掲げたので、あなたがつくる際の参考にしていただきたい。

この「情報キャッチレポート」を使えば、営業担当者にとって最も貴重な市場情報や顧客情報を組織的、システム的に収集整理することが可能になるのである。

耳情報の活用法は「決め手」をもっている人ほど公開しない
人は、誰でも情報をもっているものだ。人と会って話をしたとき、それをどう聞き出し、どう活用するか。これは人それぞれの能力によるものだけに、「これだ」というものはない。また、「決め手」をもっている人ほど公開はしない。せっかく試行錯誤をしながら身に着けたものだけに、教えるのはもったいないというわけだろう。

生身の人間情報は信用と善意の積重ねで生かしていく
そこで1例をあげると、ある人は人間情報を扱うときは、人間的な誠実さと信用が重要なので、ちょっとした日常的な約束を必ず守り、小さな善意、配慮を疎かにしないという。つまり信頼できる関係づくりを絶えずしておかないと、情報のやりとりはできないということだ。

人間情報活用のセオリーは、ギブ・アンド・テイク
情報は、ギブ・アンド・テイクが原則。ギブだけでも続かないし、テイクだけでは続くはずはない。まず、ギブしてネットワークづくりに励むのが、人間情報活用のセオリーの1つである。

<< 会議やQC活動による顧客情報の上手な整理・活用法 >>

会議や打合わせで得た情報は1冊のノートでは整理できない
会議や打合わせ、研究会などでの情報も種々雑多に入ってくる。これを1冊のノートに全部記入していたのでは整理できない。また、種類ごとに記入していたのでは、保存スペースが多くいる。

バインダー式のノートと、ルーズリーフ用紙の活用が便利
そこで、これらの問題を解決するには、バインダー式のノートにし、ルーズリーフ用紙を入れておく。ここに記入し、終わるごとにこれを仕切り用紙に会議の名称を記入し、そこへ入れ込んでいく方法がよい。これらを1か月ごとに大型のものに移しかえていく。

担当エリアの市場調査は1人よりグループでやるのが効果的
販売活動のポイントの1つは、マーケットを知ること。担当エリアの市場調査といっても、大袈裟なものでなくともよい。1人よりグループで、人口、人口構成、収入動向、住宅事情、消費状況などのほか、地域特性などの基礎データを集め、討議していく方法が効果的だ。

情報収集から活用までを営業部門におけるQC活動で
コミッションセールスでなければ、こうした情報収集から活用までをQCサークルをつくってやるのが一番。営業部門におけるQC活動をこのようにしてやっている企業が多くなった。

得意先情報はフィードバックの仕方で活用が決まる
要するに、顧客情報、市場情報を第1線の生のまま収集し、活用を図るということである。このフィードバックがうまくできるかどうかで、売上げが左右される時代となった。具体的には会議での発表、販売報告書での報告を通じて、営業方針に、販促計画に、販売方法に生かすことができれば活用も万全というわけである。

著者
坂井 尚(ビジネス評論家)
2010年6月末現在の法令等に基づいています。