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事務ワーク

電話応対の際の心得は
 電話応対の基本心得は「迅速、正確、明るく、親切、丁寧」の5原則である。これを念頭に置き、これだけは心得ておきたい電話応対のマナーを列記しておく。

かけるときの注意点
1.相手の番号を確かめてからかける
2.先方の都合や時間を考えてかける
考慮してかけても、来客中、打合せ中など、それぞれの事情があり、電話で話をするのを避けたいことがよくある。相手が出たら「いま、よろしいでしょうか」と尋ねる配慮が必要である。
3.長話をしない
4.メモを手元に置いておく
5.正確に話を進める
商談での言い間違いや聞き間違いは重大なミスを引き起こしかねない。メモを用意し、それを見ながら言ったり、間違って受け取られない喋り方をする。たとえば、同音異義語や類音語にはとくに気をつける。センダイ市は、仙台か川内か。サカイは、境か、堺か、酒井か、坂井か、阪井なのかを明確にする。
6.敬語を適切に使う
7.語尾をはっきり言う

受けるときの注意点
1.印象のよい名乗りをする
受話器を取り上げたときの第一声、これが相手に好印象を与えるかどうかのキーポイントである。
2.待たせない
迅速とは、待たせないことである。ベルが鳴ったらすぐに出る。
3.待たせたら必ず「お待たせしました」と言う
4回以上ベルが鳴ってから出たときは、「お待たせいたしました」とお詫びを真っ先に言ってから、「おはようございます。〇〇営業部です」と挨拶し、名乗る。
4.速く適任者にバトンタッチする
電話口に出たものの「この件は自分で応対処理するのはむずかしい」と思ったら、ベテランや専門の担当者に速く取り次ぐことが肝心である。そのとき、無責任に電話を回すのは絶対に避けること。必ず先方の用件を要約してバトンタッチする。そうしないと、先方は同じことを何回も喋ることになり、立腹しかねない。
5.聞き間違いをしない
かけるときの注意点5と同じことだが、「正確の原則」で最も注意すべきは視覚なしの聴覚だけの電話による「聞き間違い」のリスクである。
加藤と佐藤のように音が似た名前、岸田・市田・西田・菱田などは、電話では聞き間違えやすい。数字は重要だから、絶対に間違いがあってはならない。4はシよりヨン、7はシチよりナナ、9はクよりキュウ、10はジュウよりトウのほうが間違いにくい。セン(千)とエン(円)を聞き違えると大変なことになる。
不安なときは「イチダさまですね」などと聞き返すこと。
6.不快な連想をさせる言葉はタブー
「明るくの原則」には、明るいイメージも含む。不快な連想をされかねない言葉はタブーとしたい。一例を挙げれば、次のようなものになる。
・いま、課長はトイレに行ってます
・部長は本日、下痢で休んでます
・B君は痔の手術で……
自宅の場合であれば、
・いま、風呂から出たとこなので、ハダカで失礼します
7.舞台裏を聞かせない
電話を取り次ぐとき、「山田さんからかかってますよ」「ちょっとまずいなあ。いま、居ないと言っておいてよ」といった内輪話が筒抜けになったり、値引き交渉の手の内が相手に聞こえてしまったりしては大変である。きちんと送話口を手のひらで押さえてから取り次ぐこと。
8.代わりに用件を聞いたときは「伝言メモ」にして残す
本人不在のため、代わりに用件を聞いたときは、用件のポイントを復唱し、「わたくし、営業1課の井本です。確かに山村に伝えます」といったように自分の所属と名前を言う。相手の名前を聞き漏らしたときは、「失礼ですが、お名前をお教えいただけますか」と尋ね、「玉森商事の松田様ですね。確かに承りました」と締めくくる。ここで大切なのは、多忙に紛れて伝言を忘れたりすることがないように、次の図表のようなメモにして残しておくことである。

9.こちらから先に受話器を置かない
かけたほうが先に受話器を置くのがマナーの原則である。用件が終わったからといって、かけてこられた電話をこちらから切るのはマナー違反。ただ、先方がなかなか切らないときは、「失礼します」「ごめんください」と言って静かに受話器を置く。
最後に、状況別の対応例をまとめると、次の図表のようになる。


著者
坂井 尚(ビジネス評論家)
2004年11月末現在の法令等に基づいています。