ビジネスわかったランド (営業・販売)

基本と行動マナー

自己紹介、他人紹介の際の心得は
 自己紹介は、相手の話に合わせてさり気なく行なう。また、他人の紹介は、取引上、下位の者からするなど、ルールをきちんと守ることが大切である。

<< 自己紹介のポイント >>

とくに気をつけたいのが自己紹介の仕方である。次のような点に留意する。

大きな声ではっきりとしゃべる
ぼそぼそとしゃべったり、小さな声で話したのでは小心者とか自信のない人間と思われてしまう。はっきりした声で堂々と名乗ること。だからといって、部屋中に聞こえるような大声を張り上げる必要はない。

相手の話に合わせてさり気なく
自分から一方的に話し出すのではなく、話の中で取っかかりを得てからにするとスムーズにいく。たとえば、挨拶を交わしたときに相手のアクセントに関西訛りがあることに気づいたら、「部長は関西のご出身でございますか。実はわたくし、大阪の出身でして、東京に出てきて5年になります。生まれたのは、ミナミの盛り場のど真ん中、ナンバです」といったふうに語り出す。

自分のことばかり話さない
きっかけを得たからといって、出身校から始まって趣味のこと家庭のことなど、自分のことばかり次から次へとまくしたてるのはよくない。いくら自分を売り込むのが仕事だといっても、これでもかこれでもかでは押売りと同じ。相手が嫌気を感じるようでは何のための自己紹介かわからなくなってしまう。

共通の知人や話題を入れる
自己紹介でいちばん効果的に受け入れられるのは、相手がよく知っている人物を話題にすることである。「いや、実は山田商会の山田社長、わたくしの遠い親戚でして、毎年、正月に会っています」というような話は、取っかかりの話としても自分を売り込むにも、相手に抵抗なく入っていける方法の1つである。

<< 他人を紹介する際のポイント >>

同僚や部下、上司、後任者、新任者など、他人を紹介しなければならないケースは結構多い。

紹介するときの順序
人を紹介する場合、その順序はお互いの立場によって決まってくる。自分が仲介者である場合の基本的な考え方を示しておく。
1.地位・立場の低い人を先に紹介する
これが原則。社内でも社外でも同じである。単純な例をいえば、部長と課長を紹介するなら、まず課長を先に紹介すればよい。しかし、実際には原則だけでは対処しきれないケースも出てくるので注意したい。たとえば、上司である部長を取引先の係長に紹介することになったとき、どうすればよいか。単純に係長のほうが地位が低いから、と考えてはいけない。
・商取引上で下位の者を先に紹介する
物を買ってもらっているほうを先に紹介するのである。したがって、メーカーの営業マネジャーと小売店主を引き合わせたなら、まず、営業マネジャーから紹介することになる。
・訪問したほうが先に同行者を紹介する
顧客や取引先を訪問した場合は、こちらの同行者が社長で相手が係長であっても、「わたくしどもの社長でございます」と先に紹介する。
・地位に差のないときは若い者を先に紹介する
年少者を年長者に紹介する。これも相手が顧客・取引先であれば、自分のほうを先にするのがマナーである。
・仲介者に近しい者を先に紹介する
もし、自分の学生時代の友人を会社の同僚に引き合わせるなら、地位・年齢に関係なく、まず友人から先に紹介すればよい。
以上、紹介するときの順序を示した。しかし、実際には、商取引関係ならわかるが、地位や肩書・年齢はわからないことも多い。その場合は、常にこちら側から先に紹介することを心がければ無難である。自分の側が先にしておいて失礼に当たることはない。たとえこちらがお客の立場であっても、また自社の社員の地位が高くても、自分が仲介するのであれば身内である自分の上司を先に紹介する。これがマナーの基本である。

紹介の仕方
紹介の仕方も、ぜひ覚えておきたい。
1.洋間の場合
仲介者である自分が、まず椅子から立ち上がって会釈する。そして紹介する人物の氏名を告げるわけだが、ここで紹介者と紹介される人は次の点に留意しなければならない。
・氏名だけでなく役職名も告げる
紹介する者の氏名を告げただけでは相手に与える印象が薄い。職業や自分との間柄、紹介の目的などを手短に説明する。
「こちらは、東田です。弊社の営業課長で、わたくしの上司に当たります。この度、御社とお付合いさせていただくことになりましたので、お見知りおきくださいますよう、お願いします」
・紹介された者は氏名などを繰り返す
黙って頭を下げたり、「よろしく……」と言うだけでは駄目である。もう一度、「営業課長の東田でございます。よろしくお願いします」と言うこと。
2.和室の場合
場所が和室であっても、基本的には洋室の場合と同様である。椅子ではないので、座布団を外し、正座してから紹介を始めるのが礼儀。この場合、紹介される側も、紹介を受ける側も正座すべきである。これは、宴会のような膝を崩した席であっても変わらない。

著者
坂井 尚(ビジネス評論家)