ビジネスわかったランド (営業・販売)

基本と行動マナー

名刺交換、握手の際のエチケットは
 名刺は、いわば“営業担当者の顔”である。それだけに、受付で渡すにしても本人に直接渡すにしても、その瞬間が相手の心証を大きく左右する。その後のビジネスをスムーズに進めたいなら、相手によい印象を与えたいものである。名刺交換の6つのルールを励行したい。

<< 名刺交換のルール >>

名刺交換にも順序がある。基本的には訪問した人、あるいは先に紹介された人が「どうぞよろしく」と挨拶して名刺を差し出すことになる。そして、名刺を受け取った人が「こちらこそ……」などと言って名刺を出す。したがって、紹介と同じで、普通は目下の人から先に出すことになる。しかし、営業担当者なら自分から先に名刺を出すようにしたい。
次に、名刺を交換する際には、最小限6つのルールがあることを知っておく必要がある。

必ず立って交換する
たとえ座わっていても、立ち上がって名刺を差し出すのがマナーである。

右手で差し出し、両手で受け取る
渡すときは右手片手だけでよい。静かに相手の正面に差し出す。受けるときは片手でなく、必ず両手でおしいただくようにていねいに受け取る。

相手より先に差し出す
営業担当者の場合、自分のほうから先に差し出すこと。もたもたしていてはまずい。さっと素早く渡せるように胸ポケットに何枚かを入れておく。上司に同行した場合は、上司が先に渡し、紹介されたときに差し出す。

名乗りながら差し出す
「○○社の○○でございます」と社名と氏名を言いながらが原則である。ただし、すでに相手が社名を知っている場合は、氏名だけでよい。
これらは一連の動作として行なうわけだが、名刺の交換は、こちらが差し出せば相手も出してくれる“同時交換”になるのが普通である。まず、立って、「○○社の○○でございます」と挨拶しながら自分の名刺を右手で差し出し、次に相手の名刺を左手に持った名刺入れでいただき軽く親指で押さえる。相手がこちらの名刺を持ってくれたら、右手を相手の名刺に移動させ、両手でていねいにおしいただく。
挨拶する前にポケットからごそごそと名刺を取り出す人をよく見かけるが、これはいけない。まず、挨拶してから名刺を渡す、または挨拶しながら名刺を渡すのがマナーである。

テーブルや事務机の上に置かない
名刺は手渡しが原則である。先方のテーブルや事務机の上に置くのはタブー。受け取るほうが腰をかがめたり、手を伸ばして取ることになるからである。

もらった名刺をすぐにしまい込まない
名刺を受け取ったら、軽く一礼して一度読んでみる。ちらっと見ただけですぐにポケットや名刺入れにしまい込むのは失礼である。読んでみて、もし読みにくい名前や珍しい名前があれば、「失礼ですが、何とお読みするのでしょう?」と素直に聞いても、決して失礼ではない。「珍しいお名前ですね」と尋ねることによって、その由来などを相手が話してくれたりする。そこから話がはずみ、商談にスムーズに入っていくことができるケースも少なくない。
なお、もらった名刺は、商談中は自分の名刺入れをテーブルの上に置き、その上に置いてていねいに扱うこと。指先でこね回したり、もてあそんだりしてはいけない。メモ用紙がわりにするなどはもってのほかである。
要は、名刺は自分のものも他人のものも“分身”と考え、ていねいに扱うことが肝要である。

<< 握手のエチケット >>

国際化の時代である。仕事の場、パーティーの席上などで外国人を紹介されたときには握手をする。恥をかかないために、簡単なエチケットは心得ておく必要がある。
1.年齢の違う場合は、年長者から先に手を差し出す。
2.地位の違う場合は、地位の高い者から手を差し出す。地位の低い者から握手を求めるのはマナー違反である。
3.年齢・地位が似通っているときは、どちらから手を差し出してもよい。
4.男性と女性の場合は、女性のほうから先に手を差し出す。女性が手を差し出さないのに、男性が無理強いするのはマナー違反である。
5.握り方はしっかりと。ただし、相手が女性の場合は軽く。
6.相手の目を見つめ、微笑しながら。
7.握手をしながら日本流のお辞儀はしないこと。

著者
坂井 尚(ビジネス評論家)