ビジネスわかったランド (営業・販売)

基本と行動マナー

セールストークの基本は
 トークだからといって、商談は一方的に話せばよいというものではない。お客様は、自分の聞きたいことを話してもらいたいのである。興味のないことや自分に関係のないことは聞きたくないし、聞かされても右から左に抜けてしまうだけである。何よりもまず「問う」姿勢をもつこと。これがトークの大前提だと心得るべきである。

「聞かせる」のではなく「聞き出す」
お客様が何を聞きたいのかは、黙っていたのではわからない。相手の聞きたいことを知るためには、質問するのがいちばんの早道である。訪問とは「訪れて問う」こと。くどいようだが商談は、お客様に「問う」ことから始まるのである。

何を聞き出したいのかをあらかじめ決めておく
質問することは、「お客様の事情を探る」「お客様の本音を探る」「お客様の予定を探る」など無数にある。質問が的を射たものであれば必ず答えてくれる。商談は、質問の数とその内容で決まるといっても過言ではない。まず、質問項目を思いつくままでよいからリストアップすること。100~200は用意しておくべきである。

質問の仕方を工夫する
お客様がすべての質問に素直に答えてくれるのであれば、こんなに簡単でありがたいことはない。しかし、いきなり聞いても答えてはくれない。そこで、お客様が答えやすいように言い方、表現、聞き方に工夫を凝らす必要がある。

相手にできるだけ多く話させる(2対1の割合で)
お客様に話させることが多ければ多いほど相手の事情や本音がわかってくる。こちらが一方的に喋りまくっている間は、お客様のことは何一つ探り出せない。人間には口が一つしかないのに耳が二つあるのは何故か。元来、人間は「話す」ことよりも「聞く」ほうを重視するようにできているからである。お客様に話させるためにも「問う」ことが重要であることが理解できよう。

相手の聞きたいことに焦点を合わせて話す
どんなに上手に話したつもりでも、お客様の記憶に残らなければ意味がない。商品説明をする場合でも、自分では詳しくわかりやすく話したつもりでも、相手が聞く耳をもっていなければ効果はない。その点、お客様の「聞きたいこと」に焦点を合わせたうえでの説明なら、相手が聞く態勢になっているだけに効果は大きい。

短く話して相手の反応を待つ
話させる方法は、質問することだけではない。相手が話したくなるように仕掛けることも必要である。商品の特徴を説明するときなどは、お客様に詳しく説明したくて、ついつい話が長くなりがちである。そこを我慢して、一気に話すのではなく、一区切りついたところで話すのを止め、相手の反応をじっと待つとよい。お客様が反論したり質問したりしてくれば、しめたもの。そこから商談がキャッチボールのように弾んでいく。“喋りすぎる人は沈黙が怖いから話し続ける”といわれるが、沈黙もセールストークの1つなのである。

話したいことを相手から「質問させる」ようにする
こちらが話すのを止めたとき、それまでの話の中でわからないことや関心のあることがあれば、相手のほうから質問してくる。お客様からの質問は「私はこの点を詳しく知りたい」というリクエストにほかならない。「相手の質問に答える」型のセールストークが最も効果的である。

著者
窪田 通(タイアップシステム研究会)