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営業・販売の法律知識

リコールとはどんなことか?
 欠陥製品による被害を未然に防ぐための制度。会社は公表することにより、信頼が失墜することもあります。

●リコールとは
「リコール」とは、製品に欠陥があるとき、製造者(メーカー)が新聞などに公表したうえで、自主的に製品の回収・修理等を行なうことです。リコールは、自動車、電化製品、食品などを始めとする製品のほか、サービスについても行なわれることがあります。

ところで、リコールを行なうということは、メーカーが自社製品の欠陥を認めることです。事故発生を未然に防止するためとはいえ、会社の評判は下がってしまうし、広告等による通知・公表、製品を回収する作業や、修理・交換のためのコストも莫大なものになります。そのため、なかには、製品の欠陥が事故を引き起こす危険を把握しているにもかかわらず、それを隠しつづけるといった悪質なメーカーも存在します。これがいわゆるリコール隠しの問題です。
数年前には、ある大手自動車メーカーがリコール隠しを行なったために、欠陥のある自動車によって死傷事故が発生しました。真相が発覚して大きな社会的非難が巻き起こるとともに、この自動車メーカーの信頼は失墜し、関係者は道路運送車両法違反(虚偽報告)で刑事告訴されました。

●リコールと社内体制
すでに市場に出回っている製品の欠陥は、ユーザーからのクレームや問い合わせをきっかけにして判明することが多くなっています。ですから、社内体制として、クレーム処理の担当部署をどうするかは非常に重要です。
一般的には、品質保証部が、ユーザーからのクレーム情報を集約する役割を担っています。品質保証部は、重要なクレーム情報を選別し、製造・開発部門へ問い合わせて検証を行ない、検討委員会に報告します。そして、最終的には検討委員会での協議を経て、リコールを行なうか否かが決定されることになります。

なお、会社がリコールを行なう場合、製品の種類によっては、関係省庁に事前報告が義務づけられているものがあります。自動車は国土交通省、食品衛生関連は各保健所、家電製品は各地方経済産業局、といった具合です。

法律事務所オーセンス
2010年5月末現在の法令等に基づいています。