ビジネスわかったランド (営業・販売)

実践テクニック

見込客探し、新規開拓の進め方は
 見込客を探し出す方法としては、人名録から探し出す方法や、縁故を開拓していく方法、連鎖的に紹介してもらう方法などいろいろある。本欄では、14の方法を紹介したので、これらの方法のうち、取り扱っている商品の特性、あなたの性格に合った方法を見つけ、そのいくつかを得意技として身につけていただきたい。
また、新規開拓の進め方としては、売上が不足する月だけ新規開拓をするのではなく、新規開拓週間や新規訪問デーをつくる、定期的に訪問する「定期便作戦」を実行する、ライバル会社の営業担当者に勝つために彼らよりも前に訪問する、購買決定権者の周りの人から口説いていく、などの工夫が必要である。

<< 見込客を探し出すポイントとは >>

営業担当者にとって1番強い味方は、多くの見込客である。この見込客を探し出すためのセオリーは何か。ここでは、見込客を探し出すポイントとして、ズバリ14の方法を紹介しよう。
次に、その14の方法を図表にまとめたので、あなたの営業活動に役立てていただきたい。


<< 新規開拓の進め方 >>

1年に約20%の顧客が逃げていく
完全に近い顧客管理、アフタサービスをしていても、顧客は心変わりして離れていくものである。ある統計によると、1年に約20%の顧客が逃げていくという数字が出ている。つまり、成績を伸ばすためには、必然的に新規開拓が必要になるわけである。

計画を立てて新規開拓をする
締切り近くになって、今月の受注目標が既存客からだけの受注では無理だと判断して、目標の不足分を新規開拓受注でカバーしようとするやり方は効果的でない。
なぜならば、既存客だけの受注で目標が達成できる月は新規開拓はやらなくて、不足する月だけ新規開拓をするのでは、訪問効果は薄れてしまうからである。

新規開拓週間や新規訪問デーをつくる
したがって、毎月5日から10日までの6日間は新規開拓週間に、毎週火曜日と木曜日の午後は新規訪問デーにする、という計画性がポイントである。

<< 新規受注活動は定期的に行動する >>

「定期便作戦」が効果的
計画を立てて新規開拓を展開する場合には、何としても攻略したい新規客への訪問は、決まった日、決まった曜日、決まった時間に訪問するようにする。これを「定期便作戦」と名付けるが、この作戦がきわめて効果的である。

ウエートレス攻略法は、決まった曜日、決まった席、決まった飲物
喫茶店のウエートレス攻略法は、決まった曜日に、決まった席に座って、決まった飲物を注文すると、彼女の印象が深まるものである。これは反復の効果を狙ったもので、新規開拓にも十分活用できる。

定期的に訪問されると新規見込客の心も開く
最初のうちは興味や関心を示さなかった見込客も、定期的に訪問されると、営業担当者の誠意ある訪問によって、もし取引を開始した後も定期的に顧客管理のために訪問してくれるだろう、という安心感が生まれるものである。難攻不落の受付突破、障害の厚い新規見込客の心を開かせるポイントである。

<< ライバル会社の営業活動や営業担当者のやり方を分析する >>

お客さまが抱く印象は接触頻度で変わる
新規見込客に対するアプローチ活動が、自分の判断ではこのぐらいで十分だと思っていても、ライバル会社の営業担当者がそれ以上の接触をしていたならば、見込客の印象は薄くなる。

ライバル会社の営業担当者より訪問回数を多くする
たとえば、ライバル会社の営業担当者が週に2回訪問していて、自分が週1回ならば、その効果は半分以下である。なぜならば、取引をしているライバル会社とお客は人間関係が深くつながっていて週2回の訪問、こちらは人間関係がなくて週1回というのでは、決して新規受注に結び付かない。むしろ、相手よりも多く頻繁に訪問して当り前である。

ライバル会社の営業担当者より前に訪問する
また、同じ週2回のアタックであっても、ライバル会社の営業担当者の後から訪問するようでは駄目である。相手が火曜日の午後に訪問しているならば、火曜日の午前中に、または月曜日にアタックするくらいの熱意が新規受注の糸口を開くものである。

<< 周囲の人から攻略する >>

取引していない営業担当者には情報を流してくれない
ライバルと取引しているお客は、取引していない営業担当者には情報を流さないものである。取り付く島のないお客に取り付くには、何かきっかけや情報が必要な場合がある。取引している会社にさえ購入計画情報などは簡単に流さないのに、新規開拓中の人間に情報を提供するなどということは、よほどのことがない限り不可能である。

購買決定権者の周りの人を口説く
しかし、購入計画などの情報の一部が把握できれば、攻略作戦が立てやすくなる。その突破口をつかむためには、購買決定権者に直接アタックするのが一番の早道だが、それと同時に決定権者の周囲の人、たとえば購買部長が決定権者であれば課長や係長を口説く方法がある。時にはその課の女子社員でもよい。

責任も小さいので、気軽に情報を話してくれる
彼らは持っている情報は決定権者よりも少ないが、それだけ責任も小さいわけである。「詳しいことはわかりませんが、来月頃、新しい機械を購入する計画はあります…」などと話してくれるものである。“将を射んと欲すれば、まず馬を”式のやり方である。

著者
坂井 尚(ビジネス評論家)
2004年11月末現在の法令等に基づいています。