ビジネスわかったランド (営業・販売)

実践テクニック

商品説明を演出して効果を上げるには
 カタログを並べて商品説明をするだけでは、お客様の心は動かない。今日のように、ただ単に物を買うのでなく、ムードや情報や楽しみを買う時代には、物を売るにもそれなりの演出が必要なのである。
効果的な演出をするためには、まず何を訴えたいのか、その商品のどんな感覚的要因をアピールしたいのかを明確にすることである。それから、アピールしたい点を際立たせるために、ノート型パソコン、モバイルコンピュータ、情報雑誌やテープレコーダーなどの様々な小道具を活用すること、デモンストレーションのシナリオを考えることなどを実践してみるとよい。

ムードやセンスや情報や楽しみを買う時代だから演出が必要
最近の結婚披露宴の凝った趣向は、エスカレートの一途である。昔のそれとの大きな相違点は、“演出”の有無にあるといってよい。
今日のように、物を買うのでなく、ムードやセンスや情報や楽しみを買う時代には、物を売るにもそれなりの演出が必要である。テレビCMが売行きを左右するのは、そこに緻密に計算された演出があるからである。

<< 何をアピールしたいのかを明確にする >>

その商品のどんな感覚的要因をアピールしたいのか
演出を考えるときの一番のキーポイントは、その商品のどんな感覚的要因をアピールしたいのかを明確にすることである。
次に、その商品のどんな感覚的要因をアピールしたいのか、その例を図表にまとめてみたので、ごらんいただきたい。


演出とは盛上がり効果をどのようにつくっていくかを考えること
前掲の図表に示したように、まずその商品から生まれる感覚的・感情的な効用のマトを決めることである。演出とは、そのマトにスポットライトを当て、盛上がり効果をどのようにつくっていくかを考えることである。

披露宴に演出があるから、新郎新婦はスターにも見える
披露宴に演出があるから、新郎新婦はスターにも見え、馬鹿々々しい趣向にも引き込まれて拍手するのである。演出のない商品説明は、Gパン・Tシャツの新郎新婦を立たせて、その家柄・経歴・故事ことわざを媒酌人が延々長時間にわたり長広舌をしているのと同じで、聴き手は迷惑千万である。

お客は営業マンのレクチャーなんか聞きたいと思っていない
商品説明というから、律義に材質、性能、仕様、取扱方法、保管法、他社製品との比較などを講義するのである。お客は、営業マンのレクチャーなんか、聞きたいと思っていないことを忘れてはならない。感覚的なイメージのアピールさえできたなら、お客の心は80%は買いたい欲望に占拠されかかっている。あとは知りたいと思うことは、お客が質問してくる。営業マンは、それに正確明快に答えるだけで、成約へ一直線になる。

<< デモンストレーションの台本を考える >>

論理説得よりもイメージ説得を優先させる
演出をするには、デモンストレーションの台本を考えよう。どんな小道具を使って、アピールポイントに脚光を当てるかを考える。商品説明には、論理説得と感覚説得のバランスを、といわれるが、むしろ感覚説得・イメージ説得を優先する。

自動車の色彩をアピールするならファッション雑誌を使う
自動車の色彩をアピールするなら、イタリア製のうんと鮮やかな染色のブラウスでも着るとか、ファッション雑誌を使うとかも小道具である。
男性客にはゴルフウェアのカタログをいきなり見せ、女性客には外国のファッション雑誌を見せて「興味」を引いてから、カラフルな新車の出たことを話すのも1つの演出効果である。

色の好みと性格を占ってあげてからカタログを出すほうが効果的
ここですぐに新車のカタログを出さないで、色彩テストを出して、お客さんの色の好みと性格やセックスを占ってあげて、注意力をわがほうに集中させてから、カタログを出すほうが演出効果を伴う。

演出効果を高めるための工夫のポイント
次に、演出効果を高めるために何をどのように工夫したらよいのか、そのポイントについて図表にまとめたので、あなたの営業活動に役立てていただきたい。


相手の心にアピールするための知恵“演出”である
小型のテープレコーダーやノート型パソコンや手づくりのデモブックシートや、関係のない品物や雑誌やパンフレット、場合によれば今朝の新聞も、みんな演出効果を高める小道具になる。下手な弁舌よりも小道具とその使う順序やタイミングによって商品をイメージ的に引き立たせ、相手の心にアピールすることが“演出”である。

著者
藤森 悠紀男(株式会社経営開発研究所社長)
2010年6月末現在の法令等に基づいています。