ビジネスわかったランド (営業・販売)

実践テクニック

断わりを跳ね返す話法と戦術は
 断わりを跳ね返すには、質問法、間接否定法、比較対照法、資料転換法、聞き流し法、オーム返し法、例話法、話題転換法、タイミング指摘法など9つの話法がある。
また、断わりを跳ね返す戦術には、選手交代作戦、コーチ同伴作戦、紹介状作戦、手を替え品を替え作戦、外堀作戦、ヘンシン作戦、元気百倍作戦、見直してください作戦、甘えん坊作戦、あげ足取り作戦など、様々な作戦がある。あなたに最も適した作戦で、お客の断わりにチャレンジしていただきたい。

営業マンは断わりを跳ね返すのが仕事
「セールスは、断わられたときから始まる」といわれるように、営業マンは断わりを跳ね返すのが仕事である。プレイボーイがいくらヒジ鉄をくらってもくじけずに、臆面もなく次々と女性に声をかけるのと同じである。1度や2度のヒジ鉄でくじけていたのでは、プレイボーイではなくなってしまう。

<< まず断わりの原因を知ることが大事 >>

お客が断わる9つの原因
営業マンになって新人のころは、自社の商品に惚れ込むと、「こんなよい商品をお客はなぜ断わるのだろうか」とその理由がわからなくなったりすることがある。しかし、お客が断わるには、それなりの原因がある。ここは、冷静になって、なぜ断るのか、その原因を分析することが大切である。
お客が断わったり、反論したりする原因は、次の図表に示すように、9つに集約できる。


<< 断わりに対応する話法 >>

さて、お客の断わりに対して、どう切り込んでいったらよいか。それには次の図表に示すように、質問法、間接否定法、比較対照法、資料転換法、聞き流し法、オーム返し法、例話法、話題転換法、タイミング指摘法という9つの話法があるので、ぜひこれらの話法を駆使して、お客の断わりを突破していただきたい。


断わりを跳ね返す戦術
プレイボーイがフラレてもくじけずアタックする場合、あの手この手の戦術を駆使するであろう。この恋人アタック作戦における様々な戦術を図表にまとめてみた。ここに掲げた作戦は、営業にも応用できるのと思うので、ぜひ活用してみていただきたい。


チャレンジの意欲が湧くターゲットに絞ることも大切な戦術
彼女を口説くようなエネルギーが湧かないというのなら、同じ断わり客でも、立派な紳士、感じのよい女性を選んで、チャレンジの意欲が湧くターゲットに絞ることも大切な戦術である。自信のない人は、「私は〇〇さんを必ず陥落させます」と、朝礼のたびに、みんなの前で絶叫して自らを縛り付けるのも、平凡ながらよい戦術である。

<< 断わられた客への再アタック作戦 >>

断られたところは、何となく敷居が高く、敬遠しがちだが、これでは営業マンの名折れである。そこで、再アタックの作戦を提供してみよう。そんな簡単なことと思っては堕落のもと。当り前のことを当り前にやることで、神の加護にありつける。

選手交代作戦
仲間の営業マンに代わって行ってもらう。人が違うと会ってくれるかも、と楽観的に考えよう。

コーチ同伴作戦
上司に同行してもらって再アタックする。乳離れのできていない人向き。これをヒントに、相手の友人や近所の人や同じ会社の人を口説いて同行してもらう方法もある。

紹介状作戦
相手の会社の取引先の人、恩師、媒酌人、子供さんの学校の先生などに泣きついて紹介状を書いてもらう。それをパスポートにして再入国を図る。紹介状の代わりに電話をしてもらうのもよい。

手を替え品を替え作戦
断わられた品物と別の商品を持って再訪する。また、新商品やモデルチェンジになったチャンスを利用して訪問する。また、ここに紹介した10の作戦を順次やってみるのも“手を替え”ということになる。

外堀作戦
大阪冬の陣のあとの徳川家康のように、敵の外堀を埋める作戦を取る。向こう三軒両隣を攻略するとか、職場の場合は他の課から営業していくとか、主人を攻めるのに妻子に接近を図るなどの手段である。家康が次の夏の陣で豊臣家を滅亡させたように、少々月日を要するのを我慢しなければならない。

ヘンシン作戦
イメージチェンジ作戦といってもよい。前回訪問時とまったく服装もヘアスタイルも鞄もがらりと替えて、思い切り変身して訪問してみる。経済的に無理だと思う人は、友人から借りまくればよい。ユニホームの決まっている会社も、コインロッカーで着替えればよい。
あなたの隣で女子大生や女子高生もイメチェンをしていて、仲よしになるという余徳もある。その娘が先方の家の子だったら、吉か凶か……。

元気百倍作戦
世の中で接客に無関心な世界の代表が、農協職員と農家である。最近は営業訓練を行なう農協が増加しており、研修を受けた面々が元気よく礼儀正しい訪問の仕方をしたところが、農家の応対が丁重になって、座敷へ上げてくれたり、お茶や菓子が出るようになったと聞いている。正しいマナーは場違いな感じを与え、農家には向かないといわれていた仮説はくつがえっている。ましてや一般のお客さんはなおさらである。思い切り大きな声で、メリハリのある頭の下げ方、挨拶の台詞を快活にやってみてはどうだろう。その元気溌剌さに引き込まれて、お客も前の断わりを忘れてしまうのではないか。

見直してください作戦
今度は勉強してきました。先般厳しい教育を受けて生まれ変わってきました。だから一度、ボクを見直してくださいと宣言してみよう。若い営業マン向きの作戦である。

甘えん坊作戦
これも若い人向き。相手が男女を問わず30歳以上のお客さんなら、思い切り人なつっこく笑顔で明るく飛び込んでいく方法。前に断わられたなんて、みじんも意識しないで、相手に甘えついてみる。

あげ足取り作戦
客の断わり文句をそのまま使って訪ねていく。たとえば、性能が古いと言った人に、新しい性能の機種が出ましたと言って訪ねる。金がないと言った人に、「ボーナスが出ましたね」と訪ねる。

著者
藤森 悠紀男(株式会社経営開発研究所社長)
2010年6月末現在の法令等に基づいています。