ビジネスわかったランド (営業・販売)

実践テクニック

再訪チャンスの上手なつかみ方は
 再訪のチャンスをつかむには、それなりの努力と工夫が必要である。
まず、相手の欲しがるもの、関心をもつものは何かをキャッチすることである。これは、自社の取扱商品と関係ないことでもかまわない。そして、相手に役立つ情報提供や、何か調べておくことを買って出て約束することが、最も効果的である。
また、顧客を意識してネタ探しに努めるとか、自分の特技を生かす方法とか、相手が関心を持っている事柄について本で調べるとか、いくらでも方法はあるものである。そして、次回訪問の口実と日時を決めてから辞去するような習慣を身につけるようにするのが、最善の策である。

<< 労力奉仕の口実をつくる >>

再訪の約束をもらえるかどうかはデートと同じ
彼女と初めて会話を交わして、そのまま別れると、帰ってから悩むことになる。次はどうしたら会えるのか。会いたい。しかし、電話番号も家も勤め先も知らないのでは、次回は偶然の僥倖を待つしかない。
一方、営業の場合は、相手先がわかっているだけでも恵まれているといえるが、次回への可能性の橋を架けられるかどうかは、デートと同じである。

相手の欲しがるもの、関心を持つものは何かをキャッチする
次へのチャンスとは“口実”をつくることである。ちょっぴり作為しないと口実は生まれない。その口実は、きょうのデート、すなわち面談中につくるほうが文句なしに有利である。相手の欲しがるもの、強く関心を持つものは何かを、自社の営業種目に関係なくキャッチすることである。

アプローチ話法のほうが効果的
そのためには、切出し話法では、“下手な鉄砲も数射てば…”になるので、相手の関心事に絞ったアプローチ話法のほうがはじめから有効射程内にある。

相手に役立つ情報提供の話法の例
「奥さんはお料理がお好きですか、私の知人で新聞の家庭料理紹介記事のスクラップをしているのがいますので、コピーしてきましょう」「坊ちゃんが学校へ行きたがらないとのことですが、私の友人でそのことで苦労し、うまく解決した体験者がいますから、よく話を聞いてきます」「お宅様のようなご商売のことは、私の読んでいる新聞に時々掲載されていますから、最近のをコピーしてきましょう」というように、相手に役立つ情報提供や、何か調べておくことを買って出て約束することが、最も効果的である。

次回訪問の口実と日時を決めてから辞去する
以前は、わざとカタログを出さずに、次にお持ちしますとか、次にサンプルを見ていただきますとか、商品のことを小出しにして、残しておいた材料を利用した。
今日の時代はそんな甘い身勝手な手段では「結構です」と断わられてしまう。やはり、相手に貢献できるものを見つけて出してくる“人間的魅力”を認めてもらわないと相手にされない厳しい時代である。必ずきょうの面談中に口実をつくり、次回訪問の口実と日時を決めてから辞去するようにしたい。

<< 再訪のチャンスをつかむための3つの工夫 >>

顧客を意識してネタ探しに努める
もしこれが困難で、次への約束なしで引き揚げたときは、どうすればよいであろうか。1つは新聞・雑誌に目を通すとき、その顧客のことを意識するように努める。そして「先日お邪魔した○○会社の××です。ご主人の血圧のことをご心配されていましたが、私の読んだ健康雑誌にとってもわかりやすく家庭での対処法が載っていましたので、本日そちらのほうへ回わるついでもありますからコピーをお届けいたします」と電話できるようなネタを発見したい。

特技を生かす
第2は自分の特技を生かす。たとえば写真が好きだと、七五三、誕生日、節句、入学式など、子供の何かの日を狙って立ち寄り、スナップを撮ってあげる。このときは撮るだけにして、写真を届けるときにゆっくり話をする。何も特技がない人は、つくる努力をすることが武器づくりである。それも無理なら、商店へ棚卸の手伝いにきたとか、肉体労働の奉仕を申し出る方法もある。

頭を使う
特技もない、労力奉仕の口実もないという人は、頭を利用する。たとえば、新書版のやさしい姓名判断の本を1冊買っておく。「私の友人のお父さんが姓名判断をします」と言っておいて、自分でその本によって調べたことを書いて持って行く。
これが次回の訪問パスポートになる。これならどんな不器用な人にでもできる。釣りの本、家庭園芸の本、家庭医学の本、やせる本、子供の教育問題の本、何でもちょっと頭を使えば、次へのパスポートの材料に使える。

著者
藤森 悠紀男(株式会社経営開発研究所社長)
2010年6月末現在の法令等に基づいています。