ビジネスわかったランド (営業・販売)

実践テクニック

テリトリーを検討する際のポイントは
 営業マンが与えられたテリトリーを検討・分析することは、自己の販売活動を効率化する最も大きなポイントである。では、何を、どのように検討したらよいのか。
まず、検討しなければならないことは、テリトリー内における自社のシェアはどうかということである。シェア次第によって、守備型の顧客管理にするか、攻撃型の販売活動を展開するかが決まってくる。
次に、テリトリーを中心とした地域の消費・購買傾向に変化がないかどうかをチェックする。また、テリトリー内の公共事業計画や住宅開発計画など、消費・購買動機を大きく左右させる要因がないかどうかのチェックも必要である。
さらに、テリトリーが広い場合は、見込客開拓や顧客増大のために集中管理地域を選定するなど、効率アップのための販売活動を検討することも重要である。

営業マンにとって自己のテリトリーとは
営業マンにとって自己のテリトリーを理解するということは、プロ野球選手がグラウンドの状態を把握する以上に重要なことである。自然の芝より人工芝のほうが球足が速いとか、東のほうから風速8メートルなら外野飛球がどのように流されるのかを知るのと同じである。

テリトリー検討は自己の販売活動を効率化するポイント
営業マンが割り当てられたテリトリーの諸条件を十分検討することは、自己の販売活動を効率化するポイントでもある。
では、活動テリトリーの何を検討すればよいのか、その点について考えてみよう。

<< テリトリー内における自社のシェアはどうか >>

自社の占拠率によって管理の方法は変わってくる
担当地域における自社の占拠率はどうなのか、そのシェアは会社の期待する目標とどう異なるのかによって管理の方法は変わってくる。

シェアが基準以上か基準以下かで活動方針が変わる
たとえば、シェアが基準以上であるならば、テリトリー管理は守備型の顧客管理が中心になるだろうし、逆に基準以下で新しいお客の開拓を要求されるのであるならば、攻撃型の販売活動を展開する必要がある。

正確な分析により販売行動基準が明確化される
この分析が正確になされることにより、営業マンの行動が顧客管理にどのくらいの時間が割けるのか、新規開拓にどの程度ウエートをかけねばならないのかが判断でき、販売行動基準が明確化されるのである。

<< ライバルの動向はどうか >>

自社のシェアが高い場合、ライバルの攻撃が強くなることもある
テリトリー管理は、静的な条件や過去の実績データのみの検討では不十分である。仮にシェアが高い場合だと、逆にライバルの攻撃が強くなることだって考えられる。ライバルの拠点が増えなくても、戦力の増大や強力な販売政策を展開してくる可能性がある。

テリトリー内におけるライバルを含めた売上の推移を把握する
テリトリーは、ダイナミックな生き物であり、外的要因によって変化するものである。絶えずライバルの動向に注意することによって、詳細な作戦が考えられるのであるから、テリトリー内におけるライバルを含めた売上の推移や傾向を逸早くつかむべきである。

ライバル会社の営業マンと懇意になり情報を導き出す
そのためには、ライバルを遠ざけるのではなく、ライバル会社を訪問したり、ライバル会社の営業マンと懇意になり、雑談の中から動きや情報を導き出すことがポイントである。

<< 消費・購買傾向の変化はないか >>

テリトリーが商業地域か住宅地域かで変わる
これは多分に景気変動や社会状勢に影響されやすいが、地域によって若干の差があるものである。またテリトリー内の区分、たとえば工業地域か商業地域か、それとも住宅地域かによっても変わるものである。

商業地域が不振でも住宅地域にはあまり変化がないこともある
したがって、市場動向の動きや変化は、自己のテリトリーという画一化された観点ではなく、地域特性別に分類する必要がある。商業地域が不振になっても、住宅地域にはあまり変化がないということもある。

商店街の役員や近所の世話役などを情報源として活用する
これを早くキャッチするためには、情報を入手しやすいオピニオンリーダー的見込客や顧客、時には将来に向かって購入予定はまったく見込みがなくても、情報を多くもって提供してくれるような商店街の役員や近所の世話役・名誉職の人たちを地域特性区分別につくっておくと非常に役に立つ。

地域特性を要因づける環境の変化を早くキャッチする
テリトリー内の公共事業計画、大規模な工場や小売店の設置計画、住宅開発や鉄道建設計画などが、テリトリーの消費・購買動機を大きく左右させることがある。したがって、絶えず社会的なニュースや世の中の動きに関心をもち、分析しておくことが大切である。

<< 効率アップのための販売活動の検討 >>

テリトリーが広いときは、全地域の管理が困難な場合もある
テリトリーが比較的狭い面積であれば満遍なく活動できるが、広い範囲にまたがっていて、全地域を完全に管理することが困難な場合もある。

見込客開拓や顧客増大のために集中管理地域を選定する
このようなときはテリトリー内における集中管理地域を選定し、重要な顧客を中心に、その付近を中心に見込客開拓や顧客を増やすほうが得策であるので、その地域をどこにするかを検討する必要がある。

著者
羽村 光明(マネジメント・コンサルタント)
2010年6月末現在の法令等に基づいています。