ビジネスわかったランド (営業・販売)

コミュニケーション等

上手な叱られ方・謝り方と喧嘩の仕方は
 「自分が悪かった」と思ったときは、「申し訳ありません」と言葉に出して言うことが大切である。また、叱られたあと、謝ったあとは、相手の期待に行動で応えることが必要である。
次に、喧嘩は、センスよくやりたいものだ。そして、喧嘩の収拾はあなたのほうから言い出すこと、仲直りの席を設けることなども大事なポイントである。

<< 上手な叱られ方・謝り方 >>

叱られ方・謝り方で人は評価される
殺陣師(たてし)といわれる人たちで、演技がむずかしいのは、斬る役よりも斬られる役だそうである。人間関係でも、上手な叱られ方や謝り方でも評価されなければならない。事実、高く人間性を評価されるのは、叱り上手よりも叱られ上手なのである。

「叱り甲斐のある」人間にならないように
ところで、世の中には「叱り甲斐のある」人間がいるものである。これは、叱ることで叱られる側の能力や意欲がいちだんと向上することを期待するのではなく、叱る側に快感を与えるような叱られる側の人間のことである。

「叱られ下手」はソン
このことは裏返せば、叱られる側は「叱られ下手」なのである。叱りながらこれでもか、これでもかとギューギューいじめてやりたくなるような態度や雰囲気を、叱られる側がもっているからなのである。

謝罪の言葉がなければ徹底的にいじめられる
すなわち、叱られる側が肩をそびやかし、叱る側の口許や視線を跳ね返すようににらみつけたり、反対にニヤニヤ笑っていたり、謝罪の言葉など1つも口にしなければ、徹底的にいじめてやりたくなるのは当然である。

「自分が悪かった」と思ったときは言葉に出して言おう
最近の若い人は、叱られたり、注意されたときも「申し訳ありません」の言葉がない──こういう声がよく年配者や管理者からあがる。叱られる側が相手の言い分に心の中で「確かに私が悪かった」「申し訳ないことをした」と思うなら、その言葉を口に出すべきである。また、相手の言い分が納得できなければその旨を静かに率直に言うべきである。

黙っているだけでは「反抗」「無視」「黙殺」と受け取られる
ただ黙っているだけでは、よしんば相手の言い分をきちんと聞いているのだとしても、相手は「反抗」「無視」「黙殺」と受け取るのである。

「すみません」よりも「申し訳ありません」がベター
ところで、実際のビジネスの場面では、「すみません」は「申し訳ありません」「申し訳ございません」と言うようにしたい。「すみません」は軽い言い方であると同時に、若い人は「ありがとう」「少々伺いますが……」の場合にも使っているからである。

叱る側が誤解していると思われるときは
叱る側が誤解に基づいて叱っていることもあろう。また、ある先入観を客観的に正しい事実と思つて叱ってくることもある。しかし、相手がそう思つて叱ってくることを頭から「それは誤解ですよ」と否定するのは楽だが、これでは途端に相手は居丈高になって声を荒げてくるかもしれない。

まず相手の言い分を聞き、その後でこちらの言い分を伝える
まず相手の言い分を聞いてから静かに、「お言葉を返すようですが……」「私のほうにも落度があったかとは思いますが」と言って、相手にこちらの言い分を伝えればよい。もちろん、相手が「まず君の言い分を聞こう」と、先にあなたの考え方を催促すれば話は別である。

叱られたあと、謝ったあとは相手の期待に行動で応える
これも若い人に多いのだが、管理者の嘆きの中に「わかったというから叱るのを止めたのだが、全然わかっていないんだな。同じことをまた繰り返すのだから」というのがある。
叱られたあと、謝ったあとは相手の期待に行動で応える、行動で示すことが必要になってくる。叱ったことがきちんと受け入れられてこそ、相手は叱られた側に親愛と信頼の情を示すのである。

<< 上手な喧嘩の仕方 >>

エキサイトしてくると、感情的な言葉がポンポン飛び出す
苦情がエキサイトしてくると、つい感情的になった言葉がポンポン客の口から飛び出す。それまでは「顧客(得意先)は王様」と自重していた営業マンも、かっとなって言い返す。この反発に客の感情はますますエスカレートして、あとは互いに感情むき出しの応酬に終始する。感情的になればお互い赤裸々な気持ちになるから、周囲は止めようがない。

雨降って地固まる
ところが、うまくしたもので、あわや殴り合いという一瞬、時の氏神が入り、あとは一杯飲んで手打ち式(?)。
「あんたもなかなか言うじやないか」
「そういう○○さんだってよくおっしゃいますね」で、かえって感情がむき出しになったために、2人の心の距離がぐっと近づき、長い取引き関係・信頼関係が結ばれることがあるものである。

上司や先輩と時には喧嘩することですっきりした関係もできる
これと似たことが社内でもある。上司や先輩の言うことをいつもハイ、ハイと聞いていたのではあまりにも芸がない。時には思い切って喧嘩することでストレスを発散させたり、日頃のもやもやした感情をぶちまけて、かえってすっきりした関係もできるものである。

センスのある喧嘩をしたいもの
とすると、ヤクザではないが上手な喧嘩の仕方を心得ておくことも処世上必要なことだ。ヤクザと言ったのは、喧嘩上手なヤクザはツボを心得ているからだ。殴ったり切りつけたりするタイミングや間合いを効果的に計っている。ビジネスマン、営業マンは、もちろんヤクザとは違う。センスのある喧嘩をすべきである。

女性社員を傍において喧嘩するな
応援や証人を傍に控えさせた喧嘩はしないほうがよい。まして、女性社員を傍においてすることは御法度である。喧嘩の当事者以外は、いわゆる物見高い群衆である。あとになって、それこそ面白おかしく吹聴して回ることになる。

喧嘩は1対1でやれ
同時に喧嘩の当事者は、彼らを意識するから本音を出すことができない。本音の出ない喧嘩は喧嘩ではなく、演技にすぎない。演技を展開しても、互いにすっきりすることはできない。誰にもわずらわされずに1対1ですべきである。上司や得意先の如何にかかわらずである。

地下室、屋上など周囲に迷惑をかけないところがよい
地下室、屋上、構内、駐車場など、大声を出し合っても周囲に迷惑を与えないところがよい。もちろん、最初から殴り合いの喧嘩にはならないだろう。口を極めて互いが罵り合い、甲論乙駁で口角泡を飛ばしてやり合えばよい。
物理的な殴り合いになって相手を殴り倒したら、今度は相手にもあなたを十分殴らせたらよい。久しぶりの男と男の肉体的勝負は、すっきりするはずである。

喧嘩の収拾はあなたから
物事には“引きどき”がある。どちらかが、「よし、これでいい」「これでわかった」と言えば決着がつくが、もし相手が言い出さなければ、あなたが次のように終戦に持ち込めばよい。

喧嘩を収めるときのトーク例
「お互いにもやもやしていたのでこんなことになった。これを機会にいままでのことは水に流して互いに頑張ろうや」(同僚に)
「思い切り課長に言いたいことを言わせてもらいました。課長の言い分も十分にお聞きしました。明日から初心に戻って頑張ります」(上司に)
「つい会社が可愛いので、言いたい放題言ってしまいましたが、〇〇さんのお考えもよくわかりました。立場の違いとはいえ、つらいものですね。ま、いままでどおりお付合い願いますよ」(顧客に)

仲直りの席を設けよ
翌日以降に、仲直りの一席を設ければ、さらにベターである。互いに意外な一面を知った喜び(?)で、話もはずむことであろう。従前とは違った親近感も生まれてくるはずである。

著者
坂川 山輝夫(現代コミュニケーションセンター所長)
2010年6月末現在の法令等に基づいています。