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コミュニケーション等

宴席・酒席でのマナーとタブーとは
 酒席では、盃はさすものではなくまず受けること、上着を脱いだり膝を崩すのは相手に先に勧めてからにすること、食事はお客様に断ってからにすること、などがマナーである。
また、勝手に飲み物を指定したり、飲むことを無理強いしたり、隠し芸を強要したり、接待側だけで次々とマイクを回したりするのは、タブーである。

「主客転倒」にならないように
「主客転倒」という言葉がある。辞書では、「物事の軽重を取り違えること」とある。宴会では、文字どおり主客の座る位置を転倒させて恥をかいたり、相手に不愉快な思いをさせることがあるので、注意しなければならない。

<< 会場によって異なる宴会の席順 >>

接待の世話役を命じられた者は、日本間、レストラン、中華料理店など、会場によって、それぞれ席順が変わってくるので、そのことをあらかじめ知っておかないと、とんでもない恥をかくことになる。
次に、会場ごとの席順を示した図表を掲げるので、この図を見ながら以下の説明を読んでいただきたい。


日本間の主客の位置
主客の席は、床前(とこまえ)あるいは床柱の真ん前である。料亭においても同様。ただし、女性同伴の場合は、主客と女性がこの席に座る。また、庭の景色を楽しめるような座敷の場合は、主賓に眺めのよい席に座ってもらうといった臨機応変の対応が望まれる。

レストランでの席順
入口から最も遠い席が上席になるが、最近は眺望のよい最高層にある店も多いので、このルールは必ずしも通用しない。一応の席順のルールを考えたうえで、柔軟に着席してもらえばよい((A)が正しいが(B)でもよい)。

宴会の席順(ディナー型式)
テーブルの位置によって多少異なるが、要は主客はメーンテーブルか、出入口より奥のほうである。

中華料理店の席順
眺望のよい部屋の場合は、臨機応変の処置が必要。

<< 会食の際に配慮すべきマナーとは >>

自分の好きなように食べればよいという考えは、マナー違反である。みんなで食事を楽しむのだから、マナーに合ったやり方を心得ておくことである。

それぞれのマナーを守る
日本料理、西洋料理、中華料理といずれもマナーがある。これを無視したり軽視してはならない。

周囲に速度を合わせる
会食は、“早食いコンクール”ではないから、同席している人、メーンテーブルの主客の進行に合わせる。さっさと食べ終わった人ほど周囲をきょろきょろ見回しているが、みっともない仕草である。

会食中にトイレや電話に立ったり、携帯電話をかけない
一座が興ざめしたり、盛り上がった雰囲気が壊れる。会食中に、よく上司や先輩が部下や後輩に電話をかけさせて、その結果をひそひそ声で聞いている図があるが、客としては不快な感じをもつ。

喫煙にも気を配る
嫌煙権のやかましい今日、一服にも周囲に対する配慮が望ましい。とくに女性が同席しているときなどは喫うのをやめたい。どうしても喫いたいときは了解を得ることである。

黙々と食べたり話題を独占したりしない
話題に飛び込めなければ微笑や軽く相槌を打つこと。それに学のあるところをひけらかさないこと。これに違反すると、座が白ける。

<< 酒席でのマナーとタブー >>

盃はさすものではなく、まず受ける
若い人が10人いれば、半数以上がこのマナーを知らない。上司や主客、接待客の前にかしこまって、「おひとついかがですか」とやるのは、どんなに謙虚に振舞ってもマナー違反である。
「お流れをいただかせてください」と、まず相手から盃をいただき、それを飲み干してから盃洗ですすぎ、相手に“ご返盃”とすべきなのである。

勝手に飲み物を指定するのはタブー
客を接待する場合は、挨拶のあとに、「では……」と洒かビールの第一杯(乾杯)で始めるが、その後「どうぞお好きなものをお申しつけください」ともてなすべきで、傍の酌人(仲居やホステス)に「おい、ウイスキーを持ってきてくれ」などと自分の好みで注文してはならない。
社内宴会でも、それぞれ自由に好みのものを飲むように仕向けるべきである。

上着を脱いだり、膝を崩すのは相手に先に勧めてから
上司や接待客より先に上着を脱いだり、膝を崩したりしてはならない。「どうぞお楽になさってください」「暑いようですから上着をお脱ぎになったらいかがですか」と水を向け、相手のあとから自分も膝を崩したり脱いだりすることである。

短時間のときは上着も取らないほうがよい
相手が「いや結構です」と言ったら、「では勝手ですが失礼させていただきます」と断ってから行なうべきである。もっとも、短時間のときは客に合わせてきちんと座り、上着も取らないほうがよい。

飲むことを強要するのはタブー
酒量には個人差があるので、自分はいける口だからといって、下戸の客や上司に強要してはならない。酔っ払って、「洒くらい飲めなきゃ駄目じゃないですか」などとからむのは見苦しい。酒席の非礼が翌日以降の商談や職場の人間関係に大きく影響することをわきまえておくべきである。

食事は断ってから
周囲がまだ飲んでいるのに、勝手に食事をしてはならない。あまり飲めない人でも、しばらく、一定時間は付き合い、その後、頃合を見計らって「失礼してお先に食事をさせていただいてよろしいでしょうか」と断ってから食べる。

隠し芸を強要するのもタブー
余興や歌が出るような雰囲気になったら、まず客に「いかがですか」と勧めてみる。もし客が遠慮するようなら、まだ雰囲気が堅いのだから、「では下手ですが、まず……」と自分が隠し芸を出してさらに勧めてみる。

接待側で次々とマイクを回すのもタブー
最近はカラオケブームで、客をそっちのけにして、接待側同士で次々とマイクを回している光景も見かけるが、失礼である。ましてや音痴の客には、この種の“もてなし”(?)は、針のむしろに座らされたようなものだ。

隠し芸を断るにも作法がある
また、隠し芸を断るときは、「いや、私はこういう席では歌わない主義ですから」とか「無芸大食なのでやりません」などとでんと構えているのは鼻持ちならない。童謡でもラジオ体操でも簡単に披露すればよい。

いくら歌がうまくても芸を披露しすぎるな
さらに、いくらノド自慢でも相手のお世辞を真に受けて長々と芸を披露したり、次々とマイクでがなり立てるのも、周囲の興をそぐことになるので注意したいものである。

著者
坂川 山輝夫(現代コミュニケーションセンター所長)
2004年11月末現在の法令等に基づいています。