下図は、海外出張における宿泊費、滞在費の支給方法である。

◆海外出張の宿泊費、滞在費の支給方法

滞在費は、国内出張の日当に当たるものだが、海外では両替手数料など、国内出張にはない費用が必要となるケースも多く、国内の出張手当を上回る金額を支給する企業が多い。
「宿泊費、滞在費ともに実費を支給する」企業が約7割となっている。国ごとの物価の違い等を考慮してのことと思われる。この点が、国内出張と最も異なるところと言えるだろう。
旅費規程により支給する場合は、「宿泊費、滞在費を分けて一定額を支給する」企業が、「宿泊費、滞在費を合わせて一定額を支給する」企業より多かった。
旅費規程に基づいて規定額を支給する場合、その金額で賄えないケースが生じることもある。

その際の対応を尋ねたのが下図。「超過分を実費で補填する」企業が半数を超えている。

◆規定額で宿泊費、滞在費を賄えなかった場合

表1は、「宿泊費、滞在費を合わせて一律支給する場合の支給額」である。出張地域により支給額が異なるという企業では、北米出張の場合で集計した。

◆表1 地域に関係なく宿泊費、滞在費を合わせて一律支給する場合の支給額（1日当たり）

	社長	取締役	部課長	係長・主任	一般社員
回答社数	15社	15社	15社	15社	14社
最高額	50,000円	40,000円	36,000円	34,000円	32,000円
最低額	13,000円	10,000円	7,000円	7,000円	7,000円
中位額	20,000円	17,000円	15,000円	14,000円	14,000円
平均額	22,600円	19,533円	17,400円	16,900円	17,036円
2012年調査平均額	22,677円	19,446円	16,057円	13,921円	13,457円
2009年調査平均額	20,000円	15,000円	13,000円	15,333円	15,167円

注1）出張地域により支給額が異なる回答については、北米出張の場合で集計
注2）ドル建てで金額を決定している場合、1ドル=100円で円換算


平均額を見ると、一般社員から社長まで、それほど大きな開きは見られなかった。
なお、約3分の1の企業は手当をドル建てで決めていた。円相場に左右されないという点で、金額を外貨建てにすることはメリットがあると思われる（今回は1ドル100円で円換算して集計、他の集計値も同様）。

表2は宿泊費、滞在費を分けて支給する場合の宿泊費、表3はその場合の滞在費である。出張地域によって宿泊費の支給額を変えている企業の場合は、中国、韓国等を含めた東南アジア圏と北米・西欧圏の2つの地域を集計した。
また、企業によっては、滞在費に加えて、「食事代」を別途支給しているが、ここでは滞在費に含めて集計している。

◆表2 宿泊費、滞在費を分けて支給する場合の宿泊費（1日当たり）

(1)地域に関係なく一律支給の場合

	社長	取締役	部課長	係長・主任	一般社員
回答社数	8社	8社	8社	7社	8社
最高額	35,000円	30,000円	15,000円	15,500円	15,000円
最低額	8,000円	8,000円	8,000円	8,200円	8,000円
中位額	17,500円	12,800円	11,500円	13,000円	10,900円
平均額	19,125円	16,413円	12,450円	12,286円	11,600円
2012年調査平均額	15,500円	13,667円	11,611円	10,944円	10,833円
2009年調査平均額	12,027円	10,880円	9,980円	9,224円	9,390円
(2)出張地域により支給額が異なる場合
中国、韓国等を含む 東南アジア	14,220円	12,680円	10,640円	10,100円	9,600円
北米・西欧圏	15,900円	13,892円	12,192円	11,533円	11,000円

注）ドル建てで金額を決定している場合、1ドル=100円で円換算

◆表3 宿泊費、滞在費を分けて支給する場合の滞在費（1日当たり）

	社長	取締役	部課長	係長・主任	一般社員
回答社数	26社	27社	27社	26社	27社
最高額	12,000円	10,000円	8,000円	7,000円	7,000円
最低額	2,500円	2,200円	2,000円	1,600円	1,500円
中位額	6,000円	5,800円	5,000円	4,500円	4,400円
平均額	6,308円	5,552円	4,822円	3,154円	2,963円
2012年調査平均額	8,470円	7,253円	5,893円	5,049円	4,928円
2009年調査平均額	10,503円	7,495円	6,420円	5,725円	5,268円

注1）ドル建てで金額を決定している場合、1ドル＝100円で円換算
注2）出張地域で差を設けている場合、最も高い金額を集計


図表1～3を合わせて考えると、海外出張時の1日当たりの支給額の相場は、

・社長20,000～26,000円
・取締役18,000～22,000円
・部課長16,000～18,000円
・係長以下13,000～17,000円

となろう。