ビジネスわかったランド (お役立便覧)

社員に支給する祝金・見舞金・弔慰金の実態と相場

社員死亡時の弔慰金
下表は、弔慰金の支給額を、業務上死亡と業務外死亡に分けて集計した結果である(金額のバラツキが大きいため、平均額は出していない)。

◆表1 社員の死亡弔慰金の支給額

(1)業務上死亡の場合
   一律
定額支給
勤続年数に応じて支給
満1年 満5年 満10年 満20年 満30年
回答社数 47社 27社 33社 33社 33社 33社
最高額 3500万円 2000万円 2000万円 2000万円 2200万円 2300万円
最低額 5万円 2万円 5万円 5万円 10万円 10万円
中位額 100万円 10万円 15万円 20万円 25万円 25万円
2014年
調査中位額
100万円 10万円 10万円 20万円 30万円 30万円
2012年
調査中位額
100万円 20万円 30万円 45万円 50万円 50万円
(2)業務外死亡の場合
   一律
定額支給
勤続年数に応じて支給
満1年 満5年 満10年 満20年 満30年
回答社数 45社 30社 36社 35社 35社 35社
最高額 800万円 400万円 400万円 800万円 800万円 800万円
最低額 5万円 2万円 2万円 2万円 2万円 2万円
中位額 30万円 7万円、8万円 10万円 20万円 20万円 30万円
2014年
調査中位額
30万円 10万円 10万円 20万円 25万円 30万円
2012年
調査中位額
25万円 10万円 20万円 27.5万円 30万円 30万円
支給形態は、「一律定額支給」と「勤続年数に応じて支給」の企業に分かれるが、「一律定額支給」企業のほうが少し多かった。

死亡弔慰金の支給実態

業務上死亡の場合、「一律定額支給」企業の中位額は100万円。勤続年数に応じて支給する場合に比べて高い金額となっているのは、企業保険(業務上死亡の際に高額の保険金が出る契約が多い)の影響と思われる。
というのも、最高額は3,500万円(2社)と突出しており、ほかにも1,000万円以上という企業が7社あった。そうした業務上では高額の弔慰金を支給する企業でも、業務外死亡では「支給しない」か、支給する場合も100万円前後が多かった。この点から、業務上死亡の場合は保険金を原資にしているものと推測できる。
一方、「勤続年数に応じて支給」する企業の場合、当然のことながら、勤続年数が長くなるにつれて支給額は増加していく。
ただ、突出した金額を支給する企業は少ない。
実際、今回の回答でも、「勤続年数に応じて支給」する企業で1,000万円超という回答は、それぞれの勤続年数で最高額となっている1社のみだった。
企業保険は社員の勤続年数にかかわらず保険金が出る契約が多いことから、加入した場合は一律支給となることが多いのだろう。
したがって、勤続年数に応じて支給する企業の多くは企業保険に加入せず、会社資金から拠出していると思われる。
なお、業務上死亡の場合は、労災保険からの補償も受けられる。

弔慰金の分布

下図は、「一律定額支給する場合」の、業務上死亡と業務外死亡の回答額の分布を見たもの。

◆一律定額支給する場合の弔慰金の分布

表1の中位額が、業務上死亡で100万円、業務外死亡で30万円となっているように、業務外死亡は業務上死亡より金額はかなり低くなる。
一方、「勤続年数に応じて支給」の場合は、各勤続年数とも、業務上死亡と業務外死亡で大きな差異は見られなかった。

弔慰金を本給等で決める場合

弔慰金を本人の毎月の本給ないし基本給に基づいて決める企業も少なくない。
今回の調査でも、18社が本給ないし基本給をベースに弔慰金の金額を定めていて、業務上、業務外とも最高は6か月分。たとえば、次のような規程を設けている。

・業務上死亡の弔慰金は基本給の6か月分、業務外は同1か月分
・業務上は本給3か月分、業務外は同1か月分

また、弔慰金の金額を勤続年数ではなく、役職で定めているという回答もあった。

なお、香典と弔慰金の区別は難しいところだ。この点について、本調査では、葬儀や通夜の際に御霊前、お花代として喪主に供するものを香典とし、本人の在職中の功労に報いるとともに今後の遺族の生活を考えて、後日、香典や死亡退職金とは別に、ある程度まとまった金額を拠出するものを弔慰金として捉えた。