ビジネスわかったランド (人事・労務)
非正規雇用者の採用・雇用・退職等
有期労働契約の終了
ここでは、有期労働契約の終了について解説する。実務面では労使紛争が発生するリスクが高い場面であるため、十分に注意が必要である。
期間が定められている労働契約は、期間満了をもって当然に終了する。
問題になるのは、下図のように「労働契約期間満了後も契約を更新する」旨が労働契約に定められている場合に、会社が契約を更新しないケースである。
また、契約更新が形式的なものであって、契約更新を繰り返している場合、実態は「期間の定めのない労働契約」とみなされることがある。この場合に、会社が契約の更新を拒否(雇止め)すると、雇止め=解雇とみなされ、解雇法理の適用を受けた結果、雇止めが認められないことがある。
したがって、契約期間を定めて従業員を雇用する場合は、その目的に従って、次のような選択を行なう必要がある。
期間が定められている労働契約は、期間満了をもって当然に終了する。
問題になるのは、下図のように「労働契約期間満了後も契約を更新する」旨が労働契約に定められている場合に、会社が契約を更新しないケースである。
4月1日 | 翌3月31日 | |||
「労働契約期間満了後も契約を更新する」旨を明示して採用 | 会社が契約の更新を拒否(雇止め) |
→
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雇止め=解雇とみなされ、解雇の理由によっては「正当な解雇」と認められないことがある |
したがって、契約期間を定めて従業員を雇用する場合は、その目的に従って、次のような選択を行なう必要がある。
◆期間満了をもって労働契約を終了させる場合
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「契約期間満了をもって本労働契約は終了する」「契約の更新は行なわない」といったフレーズを労働契約書に盛り込む
◆期間満了後も、引き続き働いてほしい場合◆ゆくゆくは正社員への登用を考えている場合
→
「自動更新条項」を労働契約書に盛り込む
【応用】
【応用】
- 最初に、試用期間(例:3か月)と同じ長さの契約期間を設定して労働契約を締結(ここでは「自動更新」は付けない)
- 試用期間満了後、問題がなく、会社・従業員の双方が合意した場合は、改めて「自動更新」を追加した労働契約を締結する
◆期間満了後に契約を更新するか否か、現段階では不明の場合
→
「契約期間満了、会社は業績、本人の勤務成績を考慮して、双方合意のうえで契約を更新することがある」といったフレーズを労働契約書に盛り込む
↓
注意点!
- 有期労働契約が3回以上更新されているか1年を超えて継続雇用した後、契約を更新しないこととする場合は、期間満了日の少なくとも30日前までに、そのことを予告しなければならない
- 会社は、契約社員(在職・退職後問わず)から契約を更新しない理由について証明書を請求された場合は、遅滞なく証明書を交付しなければならない
著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)
※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。
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