ビジネスわかったランド (人事・労務)

非正規雇用者の採用・雇用・退職等

パート社員採用時の留意点
パート社員が戦力として欠かせない会社にとって、いかに優秀なパート社員を採用し、定着を図るかは最重要課題のひとつである。

募集・採用にあたって、労働基準法、パートタイム・有期雇用労働法等の労働関係法令を遵守することは当然だが、それだけで優秀な人材を獲得できるわけではない。

パート社員の能力や経験はもとより、家庭の事情、働く目的、性格等はさまざまなので、期待どおりに働いてくれそうか否かを慎重に見極める必要がある。

そこで以下では、パート社員の採用にあたって、実務上、どのような点に留意する必要があるかをみていく。

(1)応募の理由や働き方を確認する

パート社員については、「家計を助けたい」「配偶者の所得税法上の扶養家族のままで働きたい」「育児が一段落したので社会復帰したい」など、応募の理由(働く目的)が明確である場合が大半である。

また、自分が勤務可能な時間帯や就業場所を限定して応募してくる。

まずは、こうした応募理由や働き方を確認することが大切である。

(2)「家計を助けたい」が主目的の場合

「家計を助けたい」という応募理由の場合は、他の理由に比べて収入への関心が高い。そのため、入社時の給与だけでなく、入社後にどのように給与が変わっていくかを明確に示すことが欠かせない。パート社員に賞与、寸志またはインセンティブを出す可能性がある場合は、その旨もきちんと説明する。

なお、「所得税が発生しない所得税法上の扶養家族を継続したい(本人の年収が103万円以下)」「健康保険上の被扶養者を継続したい(本人の年収が130万円未満、60歳以上は180万円未満)」という具体的な要望が出されることもある。

月によって大きく収入が変動する場合は、当初の想定を上回って収入が発生し、結果的にパート社員の意に反して扶養から外れざるを得なくなることもある。

会社は、この点について採用時(雇用契約時)にパート社員との間で十分に意思の疎通を図っておくことが大切である。

(3)会社の期待に応えてくれそうか

誠実に勤務してくれそうか、責任感をもって仕事に取り組んでくれそうか、といったことも重要なチェックポイントとなる。

また、仕事をするうえでは、一定のコミュニケーション能力が必須である。パート仲間や他の従業員とうまくコミュニケーションがとれる人、チームワークを乱さない人が求められるだろう。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。