ビジネスわかったランド (人事・労務)

非正規雇用者の採用・雇用・退職等

非正規雇用者の形態
パート社員や契約社員などの正社員以外の労働力(非正規雇用者)は、いまや多くの会社にとって不可欠の存在となっている。

しかしながら、その一方で、雇用期間が定められることによる非正規雇用者の生活不安、正社員との賃金等の労働条件の格差拡大、といった問題も生じている。

また、2020年4月1日から施行されているパートタイム・有期雇用労働法(中小企業は2021年4月1日適用)により、正社員と非正規社員の同一労働同一賃金について行うべき対応も増えることになる。

こうした状況をふまえて、会社の実務担当者は、関係する法律の改正等にも対応しながら、優秀な非正規雇用者を確保するための労働環境の整備、複雑化する労務トラブルの防止などに取り組んでいかなければならない。
正社員
非正規雇用者
いずれも会社にとって重要な戦力
ここでは、最初に非正規雇用者の形態について説明していく。

(1)非正規雇用者を分類すると

非正規雇用者とは、一般的に、パート社員やアルバイト、契約社員や嘱託社員などの雇用形態をいう。いまや、この非正規雇用者の数は、全雇用労働者の3分の1以上に達するともいわれ、会社における人材活用のスタイルが多様化している現在、その存在感は増すばかりである。

まず、非正規雇用者それぞれの特徴をとらえ、違いや類似点を整理する。同じ非正規雇用者でも、その呼称に応じて、次のような特徴がある。

●パート社員
家計補助を目的として、定型的な単純作業に就くことが一般的である。働き方としては、1日のうちの一部の時間を利用するパターンが多い。契約更新を繰り返すことで、雇用期間が長期にわたるケースもある。

●アルバイト
学生やいわゆるフリーターが学費や生活費のために行なう場合が多く、補助的な作業(アシスタント)に就くことが一般的である。1日~1週間単位という、ごく短期的な労働契約も見受けられる。

●契約社員
パート社員やアルバイトと比べると、本人の能力や技術、実績に応じて雇用することも多く、正社員登用を前提としたもの(凖社員)や、新規事業の準備要員など、活用されるケースは多岐にわたる。正社員と同じく、フルタイム勤務が一般的である。

●嘱託社員
広い意味では契約社員に含まれるが、定年退職後の再雇用をはじめ、高年齢者を雇用する際によく利用される。

(2)派遣社員は形態が異なる

「派遣社員」には、「常用雇用型」と「登録型」の2種類がある。 常用雇用型とは、正社員が他社へ派遣されるようなものである。そのため、具体的な派遣先が決まっていなくても、雇用関係がなくなることはない。

一方、登録型は、適当な派遣先が決まった段階で雇用関係が発生し、派遣就労期間が終了するとともに雇用関係も消滅する。非正規雇用者という観点からすると、派遣社員とは、登録型のものをいうのが適当だろう。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。