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雇用保険・社会保険の知識と手続き

厚生年金保険からの給付の種類と内容
ここでは、厚生年金保険の給付の種類と内容について説明する。

(1)老後の給付だけではない

一般的に、年金と聞くと、老後に受給できる老齢年金のことを思い浮かべることが多いかもしれない。しかし、老齢年金のほかに障害年金、遺族年金といった給付もあるため、老後の給付に限定されない。

一部には、厚生年金保険=老後の年金給付という認識しかなく、厚生年金保険を軽視して加入を渋る若手の従業員もいる。従業員のこのような認識を改めさせるためには、厚生年金保険の障害年金、遺族年金についても説明する必要があるだろう。
厚生年金保険
老齢   障害   遺族

(2)障害年金

予期せぬ不慮の事故で大ケガをしたり、重い病気にかかって、「障害認定日」に一定の障害等級に該当すると、障害年金の支給が受けられる。

従業員が厚生年金保険の被保険者である場合は「障害厚生年金」と「障害基礎年金」が、厚生年金保険の被保険者でない場合は「障害基礎年金」のみが支給される。

ただし、初診日までに、保険料の納付済期間が3分の2以上ある、もしくは直近1年間に保険料の滞納がない、といった「保険料納付要件」を満たしていないと、障害年金は支給されない。

年金保険料の納付の時効は原則として2年だが、初診日の前日における保険料納付要件を問われる。したがって、障害認定日の直前にあわてて保険料を納めても、前記の期間の保険料を納付していなければ、障害年金の支給は受けられない。

(3)遺族年金

一家の生計を支える大黒柱が亡くなったときには、一定の遺族に対して、従業員が厚生年金保険の被保険者の場合は「遺族厚生年金」と「遺族基礎年金」が、厚生年金保険の被保険者でない場合は「遺族基礎年金」のみが支給される。

ただし、障害年金と同様に保険料納付要件が問われ、死亡日までに保険料の納付済期間が3分の2以上ある、もしくは直近1年間に保険料の滞納がない、といった要件を満たしていなければならない。

なお、老齢年金の受給期間を満たした者や、1級・2級の障害厚生年金の受給者が死亡したときは、上記要件に関わらず支給される。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。