ビジネスわかったランド (人事・労務)

雇用保険・社会保険の知識と手続き

雇用保険からの給付の種類と内容
ここでは、雇用保険の給付の種類と内容について説明する。

(1)雇用保険とは

雇用保険は、労働者が失業したり、育児や介護で働くことが困難になった際などに給付を行なう保険制度である。

(2)雇用保険の主な給付の内容

【失業したとき】

●基本手当
一般に「失業手当」とか「失業保険」といわれている。労働者が失業して、働く意思や能力はあるが就職できないという場合に、その期間の最低限の所得を保障するために支給される。非正規雇用者も、雇用保険の被保険者であれば、基本手当を受給する権利を得られる。

●再就職手当
基本手当を受給している人が、その基本手当を受給し終える前に、安定した就職先を見つけると、就職祝金のような形で支給される。

【育児・介護のために休業したとき、・高齢により給料が減ったとき】

●育児休業給付
満1歳未満の子を養育するために休業したとき、所得を保障するとともに、休業後の職場復帰を円滑にするために支給される。

●介護休業給付
配偶者や両親などを介護するために休業したとき、その生活を保障するとともに、休業後の職場復帰を円滑にするために支給される。

●高年齢雇用継続給付
60歳を超えて再雇用や継続雇用され、以前と比べて給料が大きく減ったときに、その給料の差額の一部を埋めるために支給される。

(3)受給に必要な被保険者期間

基本手当の受給に必要な被保険者期間は、退職理由によって異なる。

一身上の都合などのいわゆる「自己都合退職」をした人(一般受給資格者)は、過去2年間に12か月以上の被保険者期間が必要である。

自分の意思に反して退職を余儀なくされた人(特定受給資格者・特定理由離職者)は、過去1年間に6か月以上の被保険者期間が必要である。

(4)「特定受給資格者」とは

特定受給資格者とは、倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がないまま離職を余儀なくされた人をいう。

●「倒産」等により離職した人
倒産や事業所の廃止、事業所の移転により通勤が困難になったために離職した人等をいう。

●「解雇」等により離職した人
解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)や、期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用され、当該労働契約が更新されずに離職した人等をいう。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。