ビジネスわかったランド (人事・労務)

安全配慮義務・安全衛生管理

危険や健康障害を防止するための措置
そもそも会社には、従業員の危険や健康障害を防止するために必要な措置を講じる義務がある。この義務は、安全衛生管理体制のように会社の規模は問わない。

労働安全衛生法第25条の2には、建設業等を対象とした措置があるが、これ以外のものは建設業等に限定されず、すべての事業場が対象になる。

また、第26条では、労働者に対しても、事業者が講じた措置に応じて必要な事項を守るべき義務を定めている。ここでも、安全衛生管理体制と同じく、労使間の意思の疎通が求められる。

なお、危険や健康障害の防止対策という観点からは、次のようなデータの作成と分析がポイントになる。
1.使用開始日やメンテナンス日の記録(機械、器具、社有車、施設等)
2.安全衛生面にも配慮した作業手順書(マニュアル)の作成
3.発生原因ごとに分類された労災事故のデータの作成
以下、労働安全衛生法が求める従業員の危険と健康障害を防止するための措置等と安全衛生教育について、一覧にまとめた。


■労働安全衛生法が求める従業員の危険と健康障害を防止するための措置等
第20条:次のものによる危険防止
・機械、器具その他の設備
・爆発性、発火性、引火性の物等
・電気、熱その他のエネルギー
第21条:次のものによる危険防止
・掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法
・墜落、土砂等の崩壊のおそれのある場所等での作業
第22条:次のものによる健康障害防止
・原材料、ガス、蒸気、粉じん、病原体等
・放射線、高温、低温、騒音、振動等
・計器監視、精密工作等の作業
・排気、排液または残さい物
第23条:就業場所における健康、風紀、生命の保持についての措置
・通路、床面、階段等の保全
・換気、採光、照明、保温、防湿、休養、避難、清潔
第24条:作業行動から生ずる労働災害を防止するために必要な措置 第25条:労働災害発生の危険に対する作業中止、退避措置 第25条の2: 建設業等で、爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止する措置 第26条:労働者は、事業者が講ずる措置に応じて必要な事項を守るべきこと
■労働安全衛生法が求める安全衛生教育
第59条:次のものについての安全衛生教育
・雇入時
・作業内容変更時
・危険有害業務等(特別の教育)
第60条:次の事項の職長等に対する安全衛生教育(建設業や製造業等が対象)
・作業方法の決定と労働者の配置
・労働者に対する指導または監督の方法
・労働災害を防止するために必要な事項
第60条の2:安全衛生水準の向上のための教育(危険または有害な業務に就いている者が対象)

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。