ビジネスわかったランド (人事・労務)

安全配慮義務・安全衛生管理

安全衛生管理体制-衛生委員会規約
衛生委員会を定期的に適切に運営していくにあたっては、衛生委員会規約を作成しておくことが重要である。

(1)委員会規約

労働安全衛生規則第23条では、委員会の実施回数や議事概要の周知、記録の保存について定めているが、それ以外は、同条2項で「委員会の運営について必要な事項は、委員会が定める」と委員会に委任する形をとっている。

つまり、委員会の成立要件等は、事業場であらかじめ定めておく必要がある。

たとえば、委員会の構成員が、指定した日時にすべて出席できるとは限らない。当然、業務の都合などで出席できないケースも出てくる。そのため、次のような事項について、あらかじめ規約として定めておけば、より円滑な運営が期待できる。
  1. 委員会の成立要件
    「過半数以上の出席をもって委員会は成立する」といった要件を定める。
  2. 代理出席
    一般の委員に限定するなどして、代理出席を認めるようにする。
  3. 予備日の設定
    必ず月1回開催できるように、指定日以外の予備日を設定できることを定めておく。
  4. 議事録の閲覧と社内周知
    次回の委員会までに、議事録で議事内容を確認できるようにするとともに、作成した議事録の社内周知の方法を定める(議事概要の社内周知は義務)。
なお、産業医について、一般的には嘱託契約の外部の医療機関であるため、委員会の出席に関して日程調整がつかないケースも考えられる。一定の規模(従業員数が常時1,000人以上)であれば、会社が産業医を常駐させるので基本的に問題はないが、嘱託契約の場合は、産業医の出席について何らかの対策を講じておく必要があるだろう。

たとえば、衛生委員会(または安全衛生委員会)の日程を産業医の定期巡視日に合わせることが考えられる。

(2)50人未満の事業場

労働安全衛生規則第23条の2では、「委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない」と規定している。

つまり、委員会の設置義務がない事業場にも、従業員の意見を聴く機会を設けることを求めている。

この規定は、50人未満の事業場も、労使間で安全衛生についての意見交換をしなければならないことを示している。したがって、50人未満の事業場においても、法律の基準に準じて、一定の安全衛生管理体制を整備する必要がある。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。