ビジネスわかったランド (人事・労務)

安全配慮義務・安全衛生管理

ストレスチェック実施後の措置
ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票(選択回答)に従業員が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡易な検査のことである。

ここでは、ストレスチェックを実施した後に会社が行なうべき措置と注意点について解説する。

(1)面接指導

ストレスチェックの結果で「医師による面接指導が必要」とされた従業員から申出があった場合は、医師に依頼して面接指導を実施する。

従業員からの面接指導の申出は、結果が通知されてから1か月以内に、医師による面接指導は、従業員からの申出があってから1か月以内に、それぞれ行なう必要がある。

(2)面接指導実施後の医師からの意見聴取

会社は、面接指導を実施した医師から、就業上の措置の必要性の有無とその内容について意見を聴き、それをふまえて労働時間の短縮など必要な措置を実施する。

医師からの意見聴取は、面接指導の実施から1か月以内に行なう必要がある。

(3)面接指導結果の保存

会社は、面接指導結果の記録を作成し、これを事業所で5年間保存しなければならない。ただし、以下の内容が含まれていれば、面接指導を実施した医師からの報告をそのまま保存することができる。
1.実施年月日
2.労働者の氏名
3.面接指導を行なった医師の氏名
4.労働者の勤務の状況、ストレスの状況、その他の心身の状況
5.就業上の措置に関する医師の意見

(4)職場分析と職場環境の改善(努力義務)

ストレスチェックの実施者に、ストレスチェック結果を一定規模の集団(部、課、グループなど)ごとに集計・分析させて、その結果を提供してもらい、集計・分析結果をふまえて、職場環境の改善を行なう。これは努力義務とされている。
派遣社員を受け入れていたり、出向してきている社員がいる場合は、その者も含めて行なうことが望ましい。

なお、集団規模が10人未満の場合は、個人を特定されるおそれがあるので、全従業員の同意がない限り、結果の提供を受けてはならない。原則として10人以上の集団を集計の対象とする必要がある。

(5)労働基準監督署への届出

ストレスチェックを実施した会社は、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を作成して、所轄の労働基準監督署へ届け出なければならない。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。