ビジネスわかったランド (人事・労務)

安全配慮義務・安全衛生管理

会社独自の基準による面接指導
長時間労働によるリスクに備えるため、会社は法律を上回る独自の措置を実施することが望ましい。

(1)会社独自の措置の具体的内容

たとえば、基準となる1か月の時間外・休日労働時間数について、「月60時間超」というように、会社独自のものを設定することが考えられる。

その際、恒常的な長時間労働が問題なわけであるから、一時的または臨時に時間外・休日労働が発生する場合を除くことができるだろう。部署ごとに分けて考えてみてもよい。

なお、面接指導は、原則として会社が指定した医師が行なう。しかし、従業員が、会社が指定した医師を望まない場合には、自身の主治医による面接指導を受け、その結果を証明する書類を会社に提出させることでもよい。

(2)会社が実施する措置の内容

以下で、会社が実施する措置の内容(一例)を、社内通知のモデルという形で示す。


■医師による面接指導の社内通知の例(会社独自の基準によるもの)

長時間労働者を対象とする面接指導等のお知らせ

  1. 面接指導の対象者の要件 (1) 給与計算期間内で、時間外労働時間と休日労働時間の合計時間数が60時間を超える場合で、次の部署に所属する者を対象とします。ただし、部署を問わず、合計時間数が80時間を超える場合にも対象となります。
    ・開発部
    ・営業部
    ・製造部
    (2) 管理監督者・各種裁量労働制適用者についても、実際の労働時間数が(1)に定める時間数を超えている場合には対象となります。
  2. 面接指導の申出について (1) 申出は、対象となる給与計算期間の締切日の翌日から1か月以内に行なってください。 (2) 申出は、口頭・書面・電子メール等その方法を問いません。申し出る際には、いずれの方法による場合でも総務部宛てに行なってください。
  3. 面接指導の実施の決定について (1) 所定の様式によるアンケート用紙に必要事項を記入してください。 (2) アンケートの回答内容、総務部担当者と本人との話合いにより、面接指導の実施を決定します。 (3) 面接指導を実施しない場合でも、アンケート結果は5年間保存し、今後の指導・管理等の資料とします。
  4. 面接指導の実施について (1) 面接指導担当者は、当社と契約する産業カウンセラーもしくは産業医とします。 (2) 原則として、会社内で面接を実施しますが、申出者が希望する場合は、産業カウンセラー事務所もしくは産業医の診療所で受けることができます。
  5. 面接指導終了後の対応について (1) 面接結果と本人の希望等を考慮して、次の措置を行なう場合があります。
    ・所属先の変更
    ・短時間労働への変更
    ・産業カウンセラーまたは産業医による定期的な面談
    ・労働安全衛生規則第45条の特定業務従事者の健康診断
    (2) 本件についてのすべての情報は、本人、総務部担当者、産業カウンセラーもしくは産業医以外の第三者に対しては厳秘するものとします。
○年○月○日
○○○株式会社

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。