ビジネスわかったランド (人事・労務)

安全配慮義務・安全衛生管理

会社独自の長時間労働対策
長時間労働による従業員の疲労の蓄積は、健康被害や労災事故などにつながりかねない大きなリスクである。

法令違反であることはもちろん、会社に実際の損害を与えることもあるため、法律を上回る独自の措置を実施することが望ましい。

医師による面接指導制度では、1か月の時間外・休日労働時間数について、月80時間超(義務)という基準のほかに、「事業場で定めた基準」を設けている。

そのため会社は、独自に基準を定めたうえで、医師による面接指導か、それに準ずる措置を実施することができる。

努力義務なので、必ず実施すべきものではないが、従業員の過労やメンタルヘルス異常は、月80時間超の残業をしたか否かだけで判断はできない。

労働安全衛生法は、あくまで「最低基準」を定めているに過ぎない。従業員の過労防止やメンタルヘルスの維持・向上を考えていくうえでは、この「事業場で定めた基準」をいかに有効活用していくかがポイントになる。

参考として、以下に面接指導についてのアンケートの例を掲げる。


■面接指導についてのアンケートの例

面接指導についてのアンケート

このアンケートは、貴殿との話合いにより、面接指導の実施に至った場合の参考資料となるものです。原本を総務部で保管し、コピーを1通ずつ貴殿と産業カウンセラーもしくは産業医に提出するものとします。
なお、このアンケート用紙は、記入日から5年間保存します。
  1. 勤務状況について
    対象期間(  年  月  日~  年  月  日)の勤務状況について教えてください。

    (1) ご自身が把握している労働時間 ・時間外労働時間数:約  時間
    ・休日労働日数:約  日
    ・午後10時以降の労働時間数:約  時間
    (2) (1)の労働(時間)が発生した理由 (恒常的に残業が多い、突発的な残業が多いなど、できるだけ詳しく書いてください)

  2. 自覚症状について
    上記の勤務による自覚症状があれば教えてください。 ・寝つきが悪い ・睡眠中に目が覚めることがよくある ・朝、なかなか起きられない
    ・出勤するのがつらい  ・食欲がない  ・体調がすぐれない  ・疲れやすい
    ・イライラして落ち着かない   ・憂鬱、不安感がある   ・仕事のミスが多い
    ・以前より集中力がない
    ・その他(                          )
  3. その他(産業カウンセラー等に確認したいこと、労働時間管理の改善点など何でも結構です)
  年  月  日

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。