ビジネスわかったランド (人事・労務)
安全配慮義務・安全衛生管理
会社に課された安全配慮義務
(1)安全配慮義務とは
会社は信義則上、従業員に対して「安全配慮義務」を負っている。この安全配慮義務とは、従業員の生命・健康等を危険から保護するよう配慮すべき使用者の義務のことをいい、従業員を雇用する以上、会社が当然に負うものである。
安全配慮義務は、もともと判例法理だったが、現在では労働契約法第5条で次のように明文化されている。
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」
この規定に違反しても罰則はないが、従業員の心身のトラブルをめぐって争いが生じ、訴訟等に発展した場合、ほぼ確実に会社の安全配慮義務が問われることになる。
安全配慮義務は、もともと判例法理だったが、現在では労働契約法第5条で次のように明文化されている。
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」
この規定に違反しても罰則はないが、従業員の心身のトラブルをめぐって争いが生じ、訴訟等に発展した場合、ほぼ確実に会社の安全配慮義務が問われることになる。
(2)安全配慮義務の対象
作業場や設備、器具の使用等の直接的なことはもちろんだが、従業員が労務を提供している過程そのものも安全配慮義務の対象となる。
要するに、「従業員を安全な状態で働かせているか」ということが問われる。
なお、すべての会社に対して同じ内容が問われるわけではなく、会社の規模、業種や作業環境等によって配慮すべき内容は当然異なる。
さらにいえば、同じ会社であっても職種や勤続年数、本人の健康状態等によって配慮すべき点は違ってくる。そのため、安全配慮義務は労働安全衛生法よりも広い概念で考えていく必要がある。
要するに、「従業員を安全な状態で働かせているか」ということが問われる。
なお、すべての会社に対して同じ内容が問われるわけではなく、会社の規模、業種や作業環境等によって配慮すべき内容は当然異なる。
さらにいえば、同じ会社であっても職種や勤続年数、本人の健康状態等によって配慮すべき点は違ってくる。そのため、安全配慮義務は労働安全衛生法よりも広い概念で考えていく必要がある。
(3)デスクワークを例に挙げると
たとえば、デスクワークにおける職場環境に対して、安全配慮を講じていくとすると、次のようなものが挙げられる。
照明の度合いは、労働安全衛生規則で一定の基準(300ルクス以上など)が定められている。
しかし、労働安全衛生法は「最低基準」でしかないので、ここではJIS(日本工業規格)の基準を参考に「500ルクス~700ルクス」で設定している。
清掃については、労働安全衛生規則で6か月以内ごとに1回の大掃除が定められている。外部の清掃業者に委託することもできる。
VDTについては、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」によって、作業環境管理や作業管理、健康管理等が詳細に定められている。
以上のように、身近なところから会社独自の安全衛生基準を練り上げていくことが、安全配慮義務の履行につながるといえる。
- オフィスの照明
500ルクス~700ルクスの照明器具を使用し、6か月に1回は定期的に点検をしている。 - オフィスの清掃
日常的な清掃のほかに、3か月に1回は清掃業者に委託している。 - パソコンの利用
VDT(Visual Display Terminals)症候群予防のため、1時間につき10分程度の休憩をとるように指導している。
しかし、労働安全衛生法は「最低基準」でしかないので、ここではJIS(日本工業規格)の基準を参考に「500ルクス~700ルクス」で設定している。
清掃については、労働安全衛生規則で6か月以内ごとに1回の大掃除が定められている。外部の清掃業者に委託することもできる。
VDTについては、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」によって、作業環境管理や作業管理、健康管理等が詳細に定められている。
以上のように、身近なところから会社独自の安全衛生基準を練り上げていくことが、安全配慮義務の履行につながるといえる。
著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)
※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。
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