ビジネスわかったランド (人事・労務)

育児・介護に関する制度

所定外労働の免除
育児介護休業法では、休業、短時間勤務、看護・介護休暇以外に、時間外労働についても定めている。ここでは、育児・介護のための所定外労働の免除について解説する。

会社は、3歳に達するまでの子を養育する労働者、または要介護状態にある家族を介護する労働者から請求があった場合には、所定外労働を免除することが義務づけられている。

なお、労使協定を締結した場合は、次の者を適用除外とすることができる。
1. 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年未満の労働者
2. 所定労働日数が週2日以下の労働者
所定外労働の免除を希望する者は、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、開始・終了の日を明らかにして、開始予定日の1か月前までに書面等で請求する必要がある。この請求に回数制限はない。

なお、所定外労働の免除は、就業規則等に規定されていない場合でも、本人からの請求によって利用できる。
注意点!
ここでいう「所定外労働」とは、会社の就業規則で定められた所定労働時間以外の労働時間のことである。たとえば、1日の所定労働時間が7時間30分の会社では、7時間30分を超える労働が所定外労働となる。

所定労働時間:7時間30分

所定外労働

 

従業員から請求があった場合は所定外労働をさせてはならない


所定外労働の免除を請求している従業員に対して、1日ではなく、週の所定労働時間を超過して労働させることはできるのだろうか。たとえば、月曜日から金曜日まで勤務し、土曜日に休日出勤を行なう場合である。

この点については、本来想定されていない労働はさせない、というのが所定外労働の免除の趣旨であるため、週の所定労働時間を超える労働も「所定外労働」に含まれると解釈するのがふさわしい。

なお、所定外労働の免除を請求している従業員が同意した場合には、出勤させることは可能である。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。