ビジネスわかったランド (人事・労務)

育児・介護に関する制度

育児休業給付
育児休業を取得する従業員は、一定の要件を満たした場合は、雇用保険から育児休業給付を受給することができる。ここでは、この給付について説明する。

(1)育児休業給付とは

育児休業の期間は会社から給料が支払われないことが一般的である。そこで、育児休業期間中の生活費の一部を負担し、安心して子育てができるように、雇用保険から「育児休業給付」が支給される。

(2)育児休業給付の受給資格

原則として、次の2つの要件を満たすと、育児休業給付の受給資格が得られる。
  1. 1歳未満の子を養育するために育児休業を取得していること
    ※ここでいう「育児休業」とは、職場復帰を前提に取得するものをいい、取得時に退職が確定していたり予定されている休業は支給対象とはならない
  2. 育児休業を開始した日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算して12ヵ月以上(※)あること※育児休業開始日が2020年8月1日以降であって、育児休業を開始した日の前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上の月が12ヵ月ない場合は、完全月で賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上の月を1ヵ月として取り扱う

(3)育児休業給付の支給要件

育児休業給付の受給資格を満たしている者が、以下の要件を満たしている場合に支給対象となる。
  1. 育児休業期間中の各1ヵ月ごとに、休業開始前の1ヵ月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
  2. 就業している日数が各支給単位期間(1ヵ月ごとの期間)ごとに10日(10日を超える場合は、就業している時間が80時間)以下であること

(4)育児休業給付の支給期間

育児休業開始日から子が1歳になるまでが支給期間となる。ただし、一定の延長事由等に該当すれば、1歳6ヵ月、さらには2歳まで延長されることがある。

また、父母ともに育児休業を取得する場合、一定の要件を満たせば、子が1歳2ヵ月に達する日の前日までの間に最大1年間支給される。

(5)育児休業給付の支給額

育児休業給付の支給額は、支給対象期間(1ヵ月)当たり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6ヵ月経過後は50%)相当額となっている。

(6)育児休業給付を延長する際の注意点

前述のとおり、一定の要件を満たせば、子が1歳6ヵ月、さらには2歳になるまで給付期間を延長できるが、特に注意を要するのが「保育所に入所できなかった場合等の延長」である。

これは、保育所に入所を申し込む期間や、申し込む対象などが細かく規定されているためである。

たとえば、以下のようなケースでは、延長が認められない。
・市区町村に問い合わせたところ、途中入所は難しいとの説明を受け、入所申込みをしなかった場合 ・無認可保育所・認証保育所にのみ入所申込みをしている場合 ・入所希望日が1歳の誕生日の翌日以降となっている場合
令和4年10月1日から施行されている出生時育児休業についても受給資格を満たしている者が要件を満たした場合には出生時育児休業給付金の支給を申請することができる。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。