ビジネスわかったランド (人事・労務)
退職
希望退職の募集要項と競業避止義務
(1)希望退職の募集要領
希望退職の募集は、対象者、募集期間、金銭的条件等を記載した募集要項を作成して従業員に提示することにより始まる。募集要項のモデルは次のとおりである。
○年○月○日
希望退職募集要項
このたび、以下の内容で希望退職の募集を行ないます。- 希望退職募集に至った経緯
○○のため - 募集人数
○名程度 - 対象者
○年○月○日現在、当社に在籍する年齢○歳以上かつ満59歳以下の正社員(ただし、○年○月○日時点で退職がすでに決定している者は対象外とする) - 個人面談実施期間
○年○月○日~○年○月○日 - 応募期間
○年○月○日~○年○月○日 - 応募手順
個人面談時に渡す応募書類によるものとする。応募者に対しては、会社として応募を承諾するかどうかを通知する。なお、経営上の理由により応募を承諾しない場合がある。 - 退職日
○年○月○日~○年○月○日の間で双方が合意した日 - 希望退職募集に伴う上乗せ措置
会社都合扱いの退職金に加えて、別途、特別加算退職金を上乗せするものとし、詳細金額は、個人面談の際に書面で提示する。 - 再就職支援措置
希望する者には、再就職支援会社を通じて再就職を支援する(費用は会社負担)。 - その他の取扱い
個人面談時に本件についての細かい取扱いを説明する。
以上
(2)退職後の競業避止義務
「競業避止義務」とは、自社の権益を守るために、退職する従業員に対して次のことを義務づけるものである。
なお、退職後の競業避止義務は、労働契約、就業規則、誓約書等の特約で課すことになるが、特約を結んだ場合であっても、従業員に一定の制限を加えることになるため、すべての特約が有効とされるわけではない。
競業避止の特約の有効性は、次の要件が満たされているかどうかを考慮して判断される。
・競業他社へ就職しないこと
・競業となる事業をしないこと
この義務は、製造技術・営業等の機密情報を取り扱っていた従業員のみが対象となる。・競業となる事業をしないこと
なお、退職後の競業避止義務は、労働契約、就業規則、誓約書等の特約で課すことになるが、特約を結んだ場合であっても、従業員に一定の制限を加えることになるため、すべての特約が有効とされるわけではない。
競業避止の特約の有効性は、次の要件が満たされているかどうかを考慮して判断される。
イ 特約において競業避止義務の業種・職種を限定すること ロ 特約において競業避止義務の期間を限定すること ハ 特約において競業避止義務の地域を限定すること ニ 代償措置の有無ないし内容が考慮されていること(退職後の競業避止義務を課すことに見合う報酬が支払われていること等)
ただし、上記の要件をすべて満たせば、必ず競業避止の特約が有効になるということではない。あくまでも、状況に応じて、ケースバイケースで判断されることに注意が必要である。書式ダウンロード
著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)
※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。
キーワード検索
タイトル検索および全文検索(タイトル+本文から検索)ができます。
検索対象範囲を選択して、キーワードを入力してください。