ビジネスわかったランド (人事・労務)

退職

一身上の都合による退職と会社の対応
ここでは、従業員が一身上の都合で退職を願い出た場合の会社の対応を説明する。

(1)退職希望者との話合い

従業員が退職を希望する場合、まず直属の上司が相談を受け、意見交換をする中で、双方合意による円満退職へ向けて話合いを行なうことが基本となる。

話合いの際には、次のポイントを押さえる必要がある。
  1. 会社として慰留するのか、それとも退職を承認するのか
  2. 承認する場合、業務の引継ぎはどのようなスケジュールで行なうか(引継ぎに支障が生じる場合は、退職日の変更についても話し合う)
  3. 年次有給休暇の消化を希望している場合は、どう対応するか

(2)退職予定者の退職日と年次有給休暇の扱い

退職が決まった場合は、業務の引継ぎ、年次有給休暇の消化等をふまえ、退職日について話し合うことになる。

もちろん、退職日をいつにするかは退職者本人の決定次第ではあるが、会社としても後任への引継ぎ、人員のやりくりのためにある程度の時間的な余裕がほしい。

退職者本人にも、消滅してしまう年次有給休暇の残日数を消化したい等、諸事情や希望があるだろうから、十分に意思の疎通を図ることが大切である。

一身上の都合による退職の流れを図にすると、次のようになる。
    従業員が「一身上の都合」により退職することを希望
     
退職を慰留 従業員が上司に相談   上司との話合いを経ずに、いきなり「退職願」を提出してくるケースもある。この場合は、(1)退職の慰留の必要性、(2)引継ぎに必要な期間、(3)後任等について、短い時間の中で判断しなければならない
     





    退職を内諾  
     
    引継ぎのスケジュール等を考慮して、退職日等の詳細を詰める  
       
    従業員が会社に対して「退職願」を提出
   
退職を慰留(すでに内諾している場合を除く) 会社は、退職を承認するかどうかを決定(すでに内諾している場合を除く)
 
慰留が不調に終わった場合   退職を承認


 
退職者に対し、退職承認の意思表示を行なうとともに、引継ぎ、退職の手続きについて説明
   
    退職前の引継ぎ、会社への誓約書の提出
   
    退職日到来により退職

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。