ビジネスわかったランド (人事・労務)
解雇
解雇予告手当を支払う際の注意点
平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払って即時解雇する際には、次のような点に注意する必要がある。
(1)解雇予告手当の支払いは解雇の通告と同時に行なうこと
「解雇予告手当は、1週間後の最終給与支払日に給与と一緒に支払う」というような取扱いはできない。ただし、たとえば解雇予告期間が29日あり、1日分の解雇予告手当を別途支払う場合は、解雇日までに当該解雇予告手当を支払えば足りる。
また、大量の人数を即時解雇するために平均賃金の計算が間に合わない場合は、解雇予告手当を概算で支払い、その後、実際の金額との不足額を速やかに支払えば、当該即時解雇は有効とされる(昭和24年7月2日基収2089号)。
また、大量の人数を即時解雇するために平均賃金の計算が間に合わない場合は、解雇予告手当を概算で支払い、その後、実際の金額との不足額を速やかに支払えば、当該即時解雇は有効とされる(昭和24年7月2日基収2089号)。
(2)解雇の予告と同じく、即時解雇の通告も書面で行なうこと
書面を残すことにより、解雇の理由と解雇予告手当を支払った証拠を残すことができる。
(3)対象者に通貨で直接支払うこと
解雇予告手当は労働基準法上の賃金ではないが、労働基準法第24条に準じて、対象者に通貨で直接支払う。小切手や現物給付等では、解雇予告手当の支払いとはみなされない。
(4)社会保険料の計算基礎からは除外し、税法上は所定の所得税額を計算すること
解雇予告手当は賃金ではないので雇用保険料等の社会保険料の計算基礎からは除外し、税法上は退職所得なので所定の所得税額を計算する。退職所得の場合、退職所得控除額が最低でも80万円あるため、一般的には、解雇予告手当には課税されないケースが多い。
以下、参考として、解雇予告手当を支払って即時解雇する際の通知書と、解雇予告手当の受領書のモデルを掲げる。
今般、貴殿を下記のとおり解雇する旨をここに通知します。
代表取締役 ○○太郎 殿
下記のものを確かに受領いたしました。
受領年月日○年4月30日
以下、参考として、解雇予告手当を支払って即時解雇する際の通知書と、解雇予告手当の受領書のモデルを掲げる。
○年4月30日
解雇通知書
○○ 次郎 殿今般、貴殿を下記のとおり解雇する旨をここに通知します。
記
- 解雇年月日
○年4月30日 - 解雇理由
○年○月○日入社後の試用期間の中で、度重なる指導・教育にもかかわらず業務遂行能力についての改善が見られず、今後の改善の見込みもないと判断したため - 就業規則の該当条文
正社員就業規則第○条(普通解雇)の第○号「試用期間中の者で社員として不適格と認められるとき」に該当 - 解雇予告手当
300,000円(平均賃金10,000円×30日分)を解雇通告日当日に現金で支払う
以上
○○株式会社
代表取締役 ○○太郎 印
○年4月30日
解雇予告手当 受領書
○○株式会社代表取締役 ○○太郎 殿
下記のものを確かに受領いたしました。
記
解雇予告手当300,000円受領年月日○年4月30日
以上
○○ 次郎 印
著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)
※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。
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