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解雇

解雇の予告と解雇予告手当の適用除外
会社が従業員を解雇する際、労働基準法は次のいずれかの方法をとることを義務づけている。
  1. 少なくとも30日前に解雇の予告をすること(平均賃金を支払った日数だけ解雇予告期間の日数を短縮できる)
  2. 解雇の予告をせずに即時解雇する場合は、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払うこと
以下では、平均賃金の算出方法と、解雇予告手当の適用除外となるケースについて説明する。

(1)平均賃金とは

平均賃金とは、算定事由が発生した日の直前の賃金締切日からさかのぼって3か月間に支払われた賃金の総額を、対応する3か月間の総日数(暦日)で割ったものである。これを計算式で示すと次のようになる。

平均賃金=

3か月間の賃金総額3か月間の総日数
 
算定事由が発生した日とは、従業員へ解雇を通告した日となる。

また、平均賃金の計算期間内に次の期間がある場合は、その日数と賃金額を総日数と賃金総額から控除する。

1. 業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間
2. 産前産後の休業した期間
3. 使用者の責任によって休業した期間
4. 育児・介護休業期間
5. 試用期間

(2)解雇の予告と解雇予告手当の適用除外

解雇の予告または解雇予告手当の支払いは、労働基準法第20条で義務づけられたものだが、すべてのケースに適用されるわけではない。以下のいずれかに該当する場合は、適用が除外される。
  1. 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となり、所轄の労働基準監督署長の認定を受けた場合
  2. 労働者の責に帰すべき事由に基づく解雇で、所轄の労働基準監督署長の認定を受けた場合(就業規則に基づいて懲戒解雇された場合が該当する)
  3. 対象者が以下のいずれかに該当する場合
    ア 日々雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き雇用されている者を除く)イ 2か月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて引き続き雇用されている者を除く)ウ 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて引き続き雇用されている者を除く)エ 試用期間中の者(14日を超えて引き続き雇用されている者を除く)
なお、試用期間中であっても、入社して14日を超えた者を解雇する場合は、解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要となることに注意が必要である。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。