ビジネスわかったランド (人事・労務)

労働時間・休日等

フレックスタイム制

(1)フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは、「9時出社、18時退社、1日8時間労働」といった定型的な働き方ではなく、各労働日において、何時に出社し、何時に退社するか、何時間働くかを従業員に委ねる制度である。

働き方やライフスタイルの多様化、また定型的な勤務時間設定が必ずしも業務の成果につながらない仕事(例:システム開発、医薬品の研究開発)を中心に導入・運用されている。

メリハリが効く働き方ができるというメリットがある一方、自己の裁量に委ねられる部分が大きくなるため、自己管理の徹底が求められる制度である。

(2)フレックスタイム制の基本ルール

まず、1日の労働時間帯を次の2つに区分する。
  1. フレキシブルタイム・・・何時に出社して何時に退社するか、何時間働くかが従業員各自に委ねられている時間帯
  2. コアタイム・・・必ず勤務すべき時間帯
これを図にすると次のようになる。
フレキシブルタイム コアタイム フレキシブルタイム

なお、コアタイムは必ず設けなければならないものではない。1日のすべてをフレキシブルタイムとすることも可能である。このような設定は、「完全フレックスタイム制」「スーパーフレックスタイム制」などと呼ばれている。

注意点!
たとえば、始業時刻が9時の会社において、9時~12時をコアタイムとすることはできない。フレックスタイム制のポイントは、始業・終業時刻を従業員各自の裁量に委ねることにあるため、始業時刻に近接しており、いつ出社するかという裁量を働かせる余地がないコアタイムの設定は認められない。

したがって、フレックスタイム制を導入したいが、毎朝行なわれる朝礼は全員参加というような会社では、フレックスタイム制を導入することはできない。

(3)フレックスタイム制下の労働時間の清算

フレックスタイム制は、清算期間の総労働時間(勤務すべき時間)を定め、その時間を超過した場合は残業代を支払い、不足が生じた場合は不足分の賃金控除を行なう制度である。したがって、裁量の余地がある業務内容であることはもちろん、自己管理が徹底できる従業員にのみ適用すべき制度であろう。
なお、労働基準法の改正により、清算期間の上限1か月が3か月へと拡大されたが、1か月以内の場合と比較して、いくつかの制限が設けられていることに注意が必要である。

(4)フレックスタイム制の導入

フレックスタイム制の導入を希望する会社は、就業規則にその旨を定めるとともに、従業員代表と労使協定を締結する必要がある。なお、この労使協定は会社に保管しておけばよく、労働基準監督署への届出義務はない。
ただし、清算期間を1か月超3か月以内とした場合は、労働基準監督署へ届出なければならない。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。