ビジネスわかったランド (人事・労務)

労働時間・休日等

休日の振替と代休
休日の振替とは、あらかじめ休日を別の日と振り替えることである。代休とは、休日の振替をせずに、事後的に別の日に休ませる制度である。

(1)休日の振替と効果

休日の振替を行なうためには、休日の振替制度について就業規則等に規定されている必要がある。

休日の振替により、本来の休日に出勤した日は「平日の通常出勤」となり、本来の出勤日に休んだ日が振り替えた休日となる。

土曜日と日曜日が休日の会社において、あらかじめ「25日休日と28日平日を振り替える」旨を指示

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本来の休日

平日の通常出勤

本来の出勤日

振替休日

この休日の振替の通知を書面で行なわなくてはならないという定めはないが、繁忙期に休日の振替が頻発するような会社では、取扱いが混乱することを避けるためにも、通知を書面で残すことが望ましい。

(2)休日の振替の運用上の注意点

休日を振り替えて労働した日が法定休日である場合、本来の法定休日の労働に伴う割増賃金(35%以上)は発生しない。これが会社にとっての休日の振替の利点といえるだろう。ただし、「休日の振替をすれば割増賃金は一切発生しない」というわけではない。

休日を振り替える際に、次の2つのパターンに該当する場合は注意が必要である。


【1】1日8時間労働・週5日勤務の会社において、休日を同じ月内の他の週に振り替えた場合

このパターンでは、1か月間の所定労働日数は振替前と振替後で変わらないが、休日出勤した週の労働時間は40時間を超えてしまうため、三六協定を締結していない場合は労働基準法第32条違反となる。三六協定を締結している場合でも25%以上の割増賃金の支払いが必要となる。


【2】1賃金支払期をまたいで休日を振り替えた場合

このパターンで注意すべきことは、「賃金全額払いの原則」(労働基準法第24条)である。たとえば、給与締め日が毎月末の会社で、「A月とB月で出勤と休日を相殺するので、A月の休日出勤分はA月の給与では払わない」とすると、A月の給与が全額払われていないことになり、全額払いの原則に抵触してしまう。

したがって、この場合はA月の給与に休日出勤分を加算して支給し、B月の給与から振替休日分を控除することになる。しかし、このような処理は現実的ではないので、休日の振替は1賃金支払期のなかで行なうべきだろう。

(3)代休とは

代休とは、休日の振替をせずに休日出勤をさせた後、事後的に別の日に休ませる制度である。代休が振替休日と大きく異なるのは、代休を取得させても、休日労働をした事実は消えないということである。したがって、休日労働に対する割増賃金の支払義務は消えない。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。