ビジネスわかったランド (人事・労務)

服務規律・ハラスメント防止

セクシュアル・ハラスメントが生じた場合の原因究明と防止策の徹底

(1)防止策の再徹底

もし社内でセクシュアル・ハラスメント(以下、「セクハラ」という)が行なわれていた事実が判明した場合は、会社はしかるべき措置を講じる必要がある。社内で起きたセクハラに対して、会社として適切に対応しないと、「使用者責任」を問われ、損害賠償請求の訴訟が提起される可能性もある。

そのため、会社としては、原因究明と、今後再び起きないようにするための対策の実施に早急に取り組まなければならない。

(2)セクハラ行為が生じた場合の検証

まず、これまで実施してきたセクハラ防止のための対策が、有効に機能していたのか否かを検証する必要がある。

検証の結果、対策が不十分であると判断される場合は、改めて以下のような対策を講じる。


●「セクハラはあってはならない」という会社の基本方針の再徹底とその遵守を求めること
従来からセクハラへの会社の基本方針を明らかにしてきたにもかかわらず、セクハラ行為が行なわれたのであれば、従業員が「対岸の火事」「自分には関係ないこと」と軽視していた可能性も考えられる。この場合は、セクハラは従業員一人ひとりに関係のある問題であることや、セクハラ行為の具体的な説明を再度行なう必要があるだろう。専門家を招いて講習会を開催し、従業員に参加を義務づけることも有効である。


●セクハラを行なった者に対する厳正な対処を改めて周知徹底すること
セクハラ行為を防止するためには、従業員各自に高い倫理観をもってもらうことは当然だが、最終的には厳正に対処し、処罰することを明確にしておかなければならない。


●セクハラ相談窓口の再検証
セクハラ相談窓口が設けられていたにもかかわらず、相談がなされずセクハラ行為を見逃していたというケースもある。
会社としては、セクハラ相談窓口を設けるだけで満足してはならない。相談窓口が本当に機能しているのか、従業員が思い悩んだ時にいつでも相談できる場所になっているのかを再検証したい。


●セクハラ発生後の会社の対応の再検証
セクハラが生じた場合の会社としての対応も再検証しておきたい。相談対応の状況、責任者への報告、関係者への事情聴取と事実認定、処分という流れについて改善すべき点を探すことは大変重要である。


●外部専門家の利用
セクハラ問題が生じ、自社だけでは適切に対応できないと判断した場合に、外部の専門家に援助を求めることができる体制を構築しておきたい。顧問弁護士や顧問社会保険労務士、産業医との連携が重要である。

セクハラ発生

会社として迅速・慎重に対応する

セクハラ防止とセクハラ対応についての会社の対応を再検証する

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。