ビジネスわかったランド (人事・労務)
賃金制度と給与計算
年俸制の導入・運用にまつわる注意点
(1)導入を検討する際の注意点
年俸制の導入にあたっては、労働条件の不利益変更と、導入後の長期的な運用について注意しなければならない。
月給制と比較して、年俸制の導入により労働条件が不利益に変更されるのであれば、原則として対象となる従業員の同意が必要となる。
また、年俸制を導入しても、人事評価制度が機能しない、個人面接のスケジュールさえ組めないなど、その後の運用がうまくいかない例が少なくない。定着せずに形骸化してしまう危険性もあるため、会社が実際に年俸制を運用していけるのか、という点も考慮しなければならない。
年俸制を運用するためには、人事評価制度の整備はもちろんのこと、面接等の評価手段や評価する側の能力など、年俸制を運用するシステムが機能する必要があり、相応の負担が発生することに留意したい。
月給制と比較して、年俸制の導入により労働条件が不利益に変更されるのであれば、原則として対象となる従業員の同意が必要となる。
また、年俸制を導入しても、人事評価制度が機能しない、個人面接のスケジュールさえ組めないなど、その後の運用がうまくいかない例が少なくない。定着せずに形骸化してしまう危険性もあるため、会社が実際に年俸制を運用していけるのか、という点も考慮しなければならない。
年俸制を運用するためには、人事評価制度の整備はもちろんのこと、面接等の評価手段や評価する側の能力など、年俸制を運用するシステムが機能する必要があり、相応の負担が発生することに留意したい。
(2)導入決定後に行なうべきこと
年俸制の導入を決定し、労働条件の不利益変更の問題もクリアしたら、就業規則に必要事項を記載するとともに、対象者ごとに年俸についての書面を交わす必要がある。
年俸額は一律ではなく、通常は対象者ごとに異なるため、年俸制の対象者に共通して適用される定めは就業規則に、対象者個人ごとに適用される定めは年俸契約書に記載する。
たとえば、年度途中での年俸額の変更や欠勤控除の方法について、すべての対象者に適用するのであれば、就業規則に定める。対象者によって異なる取扱いとなる場合には、個別の年俸契約書に定める。
年俸額は一律ではなく、通常は対象者ごとに異なるため、年俸制の対象者に共通して適用される定めは就業規則に、対象者個人ごとに適用される定めは年俸契約書に記載する。
たとえば、年度途中での年俸額の変更や欠勤控除の方法について、すべての対象者に適用するのであれば、就業規則に定める。対象者によって異なる取扱いとなる場合には、個別の年俸契約書に定める。
(3) 年俸制運用中の注意点
【年度途中での年俸額の変更】
年俸額は1年単位で決定されるため、年間の金額は保障されるのが原則である。したがって、年度途中では金額の増減を行なわずに、契約単位の1年ごとに内容を見直すことになる。しかし、年度途中で経営状態が著しく悪化したり、対象者の業績に大幅な変化があった場合など、年俸額を減額せざるを得ない状況が生じる可能性もある。
このような場合、基本年俸と業績年俸で構成したうえで、就業規則等に減額の定めがあれば、年度途中で年俸額の変更が可能となる。そのような定めがないと、減額は労働条件の不利益変更となり、対象者の同意を得なければならない。
【年俸制における割増賃金の計算】
会社によっては、年俸額の16分の1を毎月の給与として支払い、残りの16分の4を6月と12月の2回に分けて賞与として支払うケースがある。
この場合、賞与の支給額があらかじめ確定している場合には、割増賃金の計算単価に含める必要がある。年俸額を賃金と賞与に分けたとしても、その賞与額があらかじめ確定した額である限りは、割増賃金の算定基礎に含めなければならない。
なお、あらかじめ確定している賞与額は、健康保険や厚生年金保険の月額報酬に含まれるため、社会保険の手続き上も注意が必要となる。
年俸額は1年単位で決定されるため、年間の金額は保障されるのが原則である。したがって、年度途中では金額の増減を行なわずに、契約単位の1年ごとに内容を見直すことになる。しかし、年度途中で経営状態が著しく悪化したり、対象者の業績に大幅な変化があった場合など、年俸額を減額せざるを得ない状況が生じる可能性もある。
このような場合、基本年俸と業績年俸で構成したうえで、就業規則等に減額の定めがあれば、年度途中で年俸額の変更が可能となる。そのような定めがないと、減額は労働条件の不利益変更となり、対象者の同意を得なければならない。
【年俸制における割増賃金の計算】
会社によっては、年俸額の16分の1を毎月の給与として支払い、残りの16分の4を6月と12月の2回に分けて賞与として支払うケースがある。
この場合、賞与の支給額があらかじめ確定している場合には、割増賃金の計算単価に含める必要がある。年俸額を賃金と賞与に分けたとしても、その賞与額があらかじめ確定した額である限りは、割増賃金の算定基礎に含めなければならない。
なお、あらかじめ確定している賞与額は、健康保険や厚生年金保険の月額報酬に含まれるため、社会保険の手続き上も注意が必要となる。
著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)
※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。
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