ビジネスわかったランド (人事・労務)
残業代問題
定額残業代制の実務(2)
定額残業代制が適法なものと認められるためには、次の3つのポイントがある。
ここでは「2」と「3」について詳しく解説する。
- 月給のなかで、定額残業代が明確に区分されていること
- 就業規則等に規定されており、労使双方の認識が統一されていること
- 適正な労働時間管理を行ない、定額残業代を超過する分は、全額を追加で支払うこと
(1)就業規則等の整備と労使の認識の統一
定額残業代制を適法に運用するためには、「○○手当は定額残業代である」という認識を、会社と従業員の双方で共有する必要がある。
会社はそのような認識であっても、従業員が理解していない場合には、当該手当が定額残業代とは認められず、当該手当も含めた賃金総額を残業代の計算基礎とした割増賃金の支払いが必要になる可能性もある。
したがって、定額残業代制を導入する際には、その内容を就業規則(賃金を別規程としている場合は賃金規程)で明確に規定し、労働基準法第106条(法令等の周知義務)に基づき、すべての従業員に対して周知しなければならない。
加えて、定額残業代も労働条件の一部であるため、雇用契約の締結にあたっても、雇用契約書に明記しておく必要がある。
なお、定額残業代制の導入によって、基本給部分が減額となり時給単価が下がる場合は、労働条件の不利益変更であるため、各従業員の同意を得なければならない。
会社はそのような認識であっても、従業員が理解していない場合には、当該手当が定額残業代とは認められず、当該手当も含めた賃金総額を残業代の計算基礎とした割増賃金の支払いが必要になる可能性もある。
したがって、定額残業代制を導入する際には、その内容を就業規則(賃金を別規程としている場合は賃金規程)で明確に規定し、労働基準法第106条(法令等の周知義務)に基づき、すべての従業員に対して周知しなければならない。
加えて、定額残業代も労働条件の一部であるため、雇用契約の締結にあたっても、雇用契約書に明記しておく必要がある。
なお、定額残業代制の導入によって、基本給部分が減額となり時給単価が下がる場合は、労働条件の不利益変更であるため、各従業員の同意を得なければならない。
(2)適正な労働時間管理と超過分の支払い
定額残業代を適正に運用するためには、実際の残業代が定額残業代を超過する場合は、超過分の全額を追加で支払わなければならない。
以下は差額分の計算例である。
以下は差額分の計算例である。
定額残業代 38,000円 | ||||
基本給 250,000円 (1か月の平均所定労働時間:165時間) |
||||
↓
|
||||
実際には、30時間の残業時間が発生 | ||||
↓
|
||||
30時間分の残業代 56,818円(250,000円÷165時間×1.25×30時間) |
-
|
定額残業代 38,000円 |
=
|
定額残業代の超過分 18,818円 (追加支払いが必要) |
実際の残業代を計算するためには、適正な労働時間管理が必須となる。
しかしながら、定額残業代制を導入した後、労働時間の管理を“放棄”してしまう会社も見受けられる。そうなると、実際の残業代と定額残業代の差額分が計算されず、追加払いもなされないことになる。
このような事態は、定額残業代制というシステムの根幹を揺るがすので、絶対に避けなければならない。
なお、以上のことは、年俸額に定額の残業代を含める場合も同様である。
しかしながら、定額残業代制を導入した後、労働時間の管理を“放棄”してしまう会社も見受けられる。そうなると、実際の残業代と定額残業代の差額分が計算されず、追加払いもなされないことになる。
このような事態は、定額残業代制というシステムの根幹を揺るがすので、絶対に避けなければならない。
なお、以上のことは、年俸額に定額の残業代を含める場合も同様である。
著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)
※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。
キーワード検索
タイトル検索および全文検索(タイトル+本文から検索)ができます。
検索対象範囲を選択して、キーワードを入力してください。