ビジネスわかったランド (人事・労務)
賃下げ・降格等
定期昇給の停止と賞与の不支給
賃下げには、毎月支払われる賃金額を下げる以外にも、(1)定期昇給の停止、(2)賞与の支給停止などがある。
(1)定期昇給の停止
定期昇給の停止において問題となるのは、就業規則上で、たとえば「毎年4月に定期昇給を行なう」旨の定めを置いているケースである。このような場合に、会社が一方的に定期昇給を停止しても問題はないのだろうか。
まず、押さえておくべきポイントは、就業規則は労使双方を拘束するということである。したがって、定期昇給を行なうことが就業規則上で定められている以上、会社は従業員に「毎年必ず昇給をすることを確約している」ことになる。
従業員にはすでに具体的な賃金請求権が発生しているわけであるから、定期昇給を見合わせるということは、労働条件の不利益変更に該当し、従業員の同意を得なければならず、会社の一方的な判断で定期昇給を停止することはできない。
なお、昇給に関する定めについて、「昇給は経済情勢その他やむを得ない事情により行なわないことがある」といった内容に変更した場合、定期昇給を行なう義務は消滅する。
ただし、労働条件が低下したことになるので、この場合も労働条件の不利益変更に該当し、就業規則による労働条件の不利益変更として、従業員に変更内容を周知したうえで、一定の合理性を確保する必要がある。
いずれにしても、まずは従業員に会社の現状を誠実に説明することが必要となる。
まず、押さえておくべきポイントは、就業規則は労使双方を拘束するということである。したがって、定期昇給を行なうことが就業規則上で定められている以上、会社は従業員に「毎年必ず昇給をすることを確約している」ことになる。
従業員にはすでに具体的な賃金請求権が発生しているわけであるから、定期昇給を見合わせるということは、労働条件の不利益変更に該当し、従業員の同意を得なければならず、会社の一方的な判断で定期昇給を停止することはできない。
なお、昇給に関する定めについて、「昇給は経済情勢その他やむを得ない事情により行なわないことがある」といった内容に変更した場合、定期昇給を行なう義務は消滅する。
ただし、労働条件が低下したことになるので、この場合も労働条件の不利益変更に該当し、就業規則による労働条件の不利益変更として、従業員に変更内容を周知したうえで、一定の合理性を確保する必要がある。
いずれにしても、まずは従業員に会社の現状を誠実に説明することが必要となる。
(2)賞与の不支給
多くの会社の就業規則では、「会社の業績と本人の成績に応じて、毎年6月と12月 に賞与を支払う」旨を定めている。従業員の側でも、賞与の支払いを期待し、予定して生活設計をしていると考えられる。
こうした状況の下で、大幅な赤字もしくは急激な業績悪化という理由で、賞与を不支給とすることはできるだろうか。
この場合には、「会社の業績と本人の成績に応じて賞与を支払う」という程度の表現であれば、支給額が明確であるとはみなされないため、業績不振等により不支給としても、労働契約上、特に問題はないといえる。
ただし、従業員は賞与の支給を期待し、また予定しているわけであるから、賞与の不支給を決定する前に、将来の展望を含めて会社の状況を説明しておくべきである。
なお、「基本給の○か月分を賞与として支給する」と明記している場合には、支給額を具体的に明示していると解釈され、賃金と同等に扱われる。そのため、従業員側に賞与の請求権が発生する可能性があることに注意が必要である。
こうした状況の下で、大幅な赤字もしくは急激な業績悪化という理由で、賞与を不支給とすることはできるだろうか。
この場合には、「会社の業績と本人の成績に応じて賞与を支払う」という程度の表現であれば、支給額が明確であるとはみなされないため、業績不振等により不支給としても、労働契約上、特に問題はないといえる。
ただし、従業員は賞与の支給を期待し、また予定しているわけであるから、賞与の不支給を決定する前に、将来の展望を含めて会社の状況を説明しておくべきである。
なお、「基本給の○か月分を賞与として支給する」と明記している場合には、支給額を具体的に明示していると解釈され、賃金と同等に扱われる。そのため、従業員側に賞与の請求権が発生する可能性があることに注意が必要である。
昇給停止
賞与の不支給
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著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)
※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。
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