ビジネスわかったランド (人事・労務)

入社・試用

労働者名簿の作成
従業員を雇い入れた会社は、従業員ごとに労働者名簿を作成しなければならない。
労働基準法第107条では、使用者に対し、所定の事項を記載した労働者名簿の作成を義務づけている。
この労働者名簿は、当該従業員の死亡、退職または解雇の日から起算して5年間の保存義務がある(労働基準法第109条)。
なお、日々雇い入れられる者については、労働者名簿の作成は義務づけられていない。

(1)作成していない場合の罰則

労働者名簿を作成していなかったり、作成していても所定の記載事項が欠けている場合は、労働基準法第107条違反となり、30万円以下の罰金に処せられる。また、労働基準監督署の調査が入った場合は、労働者名簿の提出を求められ、未作成なら是正を勧告されることもあるため注意が必要である。

(2)事業場ごとの作成が必要

労働者名簿は、事業場ごとに作成する必要がある。したがって、たとえば東京本社と大阪支社がある場合に、「労働者名簿は東京本社で一括管理をしていて、大阪支社にはない」というのでは、労働基準法の要件を満たさない。

(3)労働者名簿の記載事項

労働者名簿に記載すべき事項は次のとおりである。
  1. 従業員の氏名
  2. 生年月日
  3. 履歴(学歴・職歴を記入)
  4. 性別
  5. 住所
  6. 従事する業務の種類
    ※常時使用する従業員数が30人未満の場合は省略可
  7. 雇入れの年月日
  8. 退職の年月日とその事由
    ※退職事由は、「自己都合」「休職期間満了による退職」「勧奨退職」などと記入する
    ※解雇の場合は、「就業規則第○条○号による普通解雇」というように記入する
  9. 死亡の年月日とその原因
    ※死亡原因は、「病気による」「事故による」などと記入する
なお、上記1~9の事項が記載されていれば、会社が独自に作成した書式を使ってもよい。また、緊急連絡先、扶養家族の情報、各種社会保険の情報を含めた書式でも問題はない。
注意点!
労働者名簿は、書面のほか、電子媒体で作成・保存することも認められている。
電子媒体で作成・保存する場合は、次の要件を満たしていなければならないことに注意が必要である。

・法定必要事項を記載したものであること
・事業場ごとに、パソコン等の画面に表示し、印字できること ・労働基準監督署の調査が入った場合に、すぐに必要事項が明らかになり、写しを提出できる状態になっていること

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。