ビジネスわかったランド (人事・労務)
賃下げ・降格等
就業規則等を根拠とする降格と降給
降格や降給を実施する際には、就業規則等においてその根拠が明らかにされていることが、紛争防止と従業員の理解を得るためにも大切である。
(1)就業規則等の根拠
部長から課長へ役職を引き下げるなどの、いわゆる降格については、必ずしも就業規則の根拠は必要ないという考え方もある。
しかし、何も根拠がなければ、労使間のトラブルに発展する危険性が高くなる。また、従業員の側でも不満や不信感が募るおそれがあり、決して望ましいものではない。
しかし、何も根拠がなければ、労使間のトラブルに発展する危険性が高くなる。また、従業員の側でも不満や不信感が募るおそれがあり、決して望ましいものではない。
(2)職能資格制度下の降格・降給と就業規則等への記載
職能資格制度や職務・役割等級制度等における資格や等級の引下げは、原則として賃金の引下げに該当し、従業員の同意か、もしくは就業規則等への記載が必要となる。
特に、職能資格制度については注意が必要である。職能資格制度は職務遂行能力を評価基準とするもので、等級が低下したとしても職務や役割が変わるものではない。したがって、同じ職務で賃金が減ることになるため、労使間のトラブルに発展しやすい。
降格や降級が賃金の減額を伴うことは多く、トラブル防止の観点からも、きちんと就業規則に明記したうえで、それを根拠に人事権の行使として降格や降級処分を行なう必要がある。
参考として、以下に、就業規則の規定例を掲げる。
■役職手当に関する就業規則の規定例
特に、職能資格制度については注意が必要である。職能資格制度は職務遂行能力を評価基準とするもので、等級が低下したとしても職務や役割が変わるものではない。したがって、同じ職務で賃金が減ることになるため、労使間のトラブルに発展しやすい。
降格や降級が賃金の減額を伴うことは多く、トラブル防止の観点からも、きちんと就業規則に明記したうえで、それを根拠に人事権の行使として降格や降級処分を行なう必要がある。
参考として、以下に、就業規則の規定例を掲げる。
■役職手当に関する就業規則の規定例
(役職手当)
第○条 主任以上の役職者に対して、以下の役職手当を支給する。役職手当の支給は、就任月からとし、就任月が賃金計算期間の途中の場合は日割りで支給する。
【職能資格制度に関する就業規則の規定例】
第○条 主任以上の役職者に対して、以下の役職手当を支給する。役職手当の支給は、就任月からとし、就任月が賃金計算期間の途中の場合は日割りで支給する。
部長:50,000円
次長:40,000円
課長:30,000円
係長:20,000円
主任:10,000円
2 会社は人事権の行使により、従業員を前項の役職から降格または解任することがある。
3 従業員が役職手当の支給対象となる役職を外れたときには、その降格または解任した日の属する月の翌月から当然にその支給を停止する。
(職能資格制度)
第○条 会社は、従業員の能力に基づき、職能資格を付与する。
第○条 会社は、従業員の能力に基づき、職能資格を付与する。
2 職能資格の等級、評価基準等については、別に定める「職能資格制度規程」に定める。
3 新規に採用した者については、原則として、○等級とする。
4 昇格は、人事評価が○年連続で○評価以上となった場合で、会社がその能力を認める者に対して行なう。
5 会社は、人事評価が○年連続で○評価以下となった場合で、会社が現等級では不適格と判断する者に対して、降格を行なうことがある。
6 前項と前々項に定める昇格と降格は、毎年○月に行なう。
著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)
※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。
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