ビジネスわかったランド (人事・労務)

入社・試用

各種書類の提出期限と提出されない場合の対応
入社時の書類は提出期限を定めておき、必ず期限までに提出させる。あわせて、期限までに提出されない場合の会社の対応と、届出内容に変更があった場合の手続きについても定めておきたい。

(1)入社時の書類の提出期限

入社時の書類は、会社の人事管理上、また社会保険や給与計算等の諸手続きのために直ちに必要となるものであることから、従業員は速やかに提出することが求められる。

しかし、実務上は、なかなか提出されないケースがある(単に失念していることが多い)。入社時の書類の提出が遅れると、諸手続きが遅延するばかりでなく、誓約書の提出前に問題が生じた場合の対応などにも懸念が生じる。

したがって、入社時の書類は、以下の流れで提出させることが望ましい。

入社前に必要書類のリストを渡し、入社日に持参するよう伝える

入社日に提出書類を受け取る(やむを得ない事由で提出が遅れる場合は、最終提出期限を明示し、厳守させる)

以上のように、入社時の書類は、入社日にすべて提出させることが基本となる。

ただし、何らかの事情により入社日にはすべてそろわないことも考えられる。その場合は、後日提出するよう指示し、その最終提出期限も明示する。実務上は、入社日から2週間以内に提出させるべきだろう。

この一連の流れは、就業規則に記載しておくことが望ましい。最終提出期限に遅れた場合には、処分を行なうことがある旨を追加しておくことも有効である。

(2)入社時の書類の内容に変更が生じた場合

入社後、転居による住所の移動などがあり、入社時の書類の内容に変更が生じるケースも想定される。

この変更の届出が遅れると、次のような悪影響が懸念される。
・通勤手当、家族手当、住宅手当等の賃金の誤支給
・住民税の手続きミス
・取引先や公的機関等からの郵便物の誤配・遅配
・災害等の緊急時の連絡対応の遅れ
したがって、変更があった場合の手続きの流れを入社時に説明し、速やかに届け出るよう従業員に周知しておく必要がある。

この手続きについても就業規則に規定しておくことが望ましい。たとえば、「入社時に提出した書類の記載事項に変更があったときは、1週間以内に会社に届け出るものとする」と定める。遅延した場合の処分規定を置くことも有効である。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。