ビジネスわかったランド (人事・労務)

健康診断

健康診断実施後の措置
健康診断を実施した後も、会社が行なわなければならない措置がある。

(1)結果の通知

会社は、実施した健康診断の結果を本人に通知する義務がある(労働安全衛生法第66条の6)。

(2)健康診断個人票の作成

会社は、実施した健康診断の結果を記録しておかなければならない(労働安全衛生法第66条の3)。

具体的には、労働安全衛生規則第51条により、会社には、健康診断個人票の作成・保存義務が課されている(保存期間は5年間)。これは、雇入れ時や定期の一般健康診断だけでなく、他の労働安全衛生法により定められているすべての健康診断に適用される。

健康診断個人票の書式については、一般健康診断、特殊健康診断のそれぞれについて定められている。海外派遣者の健康診断の場合、派遣前と帰国後の2回実施するので、派遣前用と帰国後用の2枚が必要となる。
注意点!
医療機関等の多くは、健康診断の終了後、本人と会社宛てに結果証明書を交付しているが、この結果証明書は、あくまで医療機関等が診断内容を証明したものに過ぎない。必要項目を網羅していれば、健康診断個人票に代わるものとして認められるが、そうでない場合は、会社は別途法律で定める様式の健康診断個人票を作成しなければならない。したがって、健康診断を受診させる病院を選ぶ際には、健康診断の結果証明書が、労働安全衛生法上の健康診断個人票の要件を満たしているところがよいだろう。

また、最近では、個人のプライバシーへの配慮から、従業員本人にしか結果を通知しないケースもある。その場合には、あらかじめ従業員から会社へ健康診断の結果を提出しなければならない旨を定め、提出された内容に基づいて健康診断個人票を作成する必要がある。

(3)結果報告書の作成と提出

定期健康診断を実施した場合、常時使用する従業員数が50人以上の事業場については、定期健康診断結果報告書を作成し、所轄の労働基準監督署へ提出する義務がある。

対象は定期的に実施される健康診断であり、雇入れ時や海外派遣時のものは対象外である。定期的に実施されるものであれば、特殊健康診断なども対象となる。

定期健康診断結果報告書には、従業員ごとの結果ではなく、実施した人数や医師の所見を受けた人数等を記載する。健康診断を実施した後、遅滞なく、所定の様式により所轄の労働基準監督署へ提出しなければならない。
常時使用する従業員数が50人以上の事業場は、定期健康診断結果報告書を作成
提出
所轄の労働基準監督署

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。