ビジネスわかったランド (人事・労務)

健康診断

健康診断の対象となる従業員と実施場所

(1)健診対象となる常時使用する従業員とは

雇入れ時の健康診断と定期健康診断は、常時使用する従業員が対象となる。

常時使用する従業員には、期間の定めのない労働契約により使用される者はもちろんのこと、一定の要件を満たす場合は、いわゆるパート従業員、期間の定めのある労働契約により使用される者も含まれる。

行政通達では、期間の定めのある労働契約であっても、1年以上継続して勤務している(あるいは継続勤務を予定している)場合で、1週間の所定労働時間が通常の従業員のおおむね4分の3以上であれば、常時使用する従業員に該当するとしている。さらに、週の所定労働時間が4分の3未満で常時使用する従業員に該当しなくても、おおむね2分の1以上であれば、健康診断を行なうことが望ましいとされている。

したがって、契約更新の可能性があり、1年以上の継続的な勤務が予定される場合で、週の所定労働時間が正社員の4分の3以上であれば、当初の契約期間が3か月であったとしても、健康診断の実施対象に含めなければならない。

また、週の所定労働時間が正社員の半分程度であっても、1年以上の継続勤務が見込まれる場合には、長期の勤務期間であることを重視して健康診断の対象とするのが望ましいだろう。

(2)健康診断をどこで実施するか

健康診断の実施方法・場所は会社に委ねられていて、当然、会社の規模や従業員数によって異なる。

健康診断をどこで受診させるか

社外の施設等
(病院、診療所、保健所)

社内
(検診車による出張健康診断等)

 
【社外の施設等】
最近は、会社が加入する医療保険者の健康診断を利用することが多い。この場合、健康保険組合に加入している会社であれば、その健康保険組合の契約する病院や診療所を利用することになる。もちろん、医療保険者を経由しなければならないわけではなく、会社が近隣の病院や診療所と契約をして実施することもできる。


【社内】
会社によっては、社外の病院等に出向くのではなく、検診車(移動車)による出張健康診断を利用していることもある。病院等で受診するよりも診断時間が短縮できる、一度に多くの従業員の受診が可能、といったメリットがある。

ただし、出張健康診断を利用するには、検診車の駐車スペースの確保(路上に駐車する場合は管轄警察署への道路使用許可申請)や社内での健康診断会場の設営などが必要になる。
注意点!
社外・社内のいずれにしても、健康診断の実施にあたっては、実施機関や場所、その方法、受診期間や代替方法など、あらかじめ定めておくべきことが少なくない。また、所定労働時間中に実施するケースがほとんどなので、日常業務に支障が出ないように準備・計画することが大切となる。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。