ビジネスわかったランド (人事・労務)

服務規律・ハラスメント防止

服務規律の一般的な構成
服務規律は通常、基本原則を記載した後、一般的な遵守事項、別条文として定めるべき項目の順に構成されている。

重要性の高いものや遵守すべき事項が多いものについては、その都度、一般的な遵守事項から別条文として独立させていくことが多い。

以下は、一般的な構成の服務規律の例(抜粋)である。ここでは、社内情報の流出の危険性が高いパソコン等の取扱いと、法改正等により重要性が増したセクシュアル・ハラスメント対策、個人情報保護について別条文化している。
【基本原則】

(服務の原則)
第○条  従業員は、この規則に定めた事項のほか、業務上の指揮命令に従い、自己の業務に専念し、誠実に職務を遂行するとともに、創意を発揮して能率の向上に努め、互いに協力して職場の秩序を維持しなければならない。


【一般的な遵守事項】

(遵守事項)
第○条  従業員は職場の秩序を維持し、業務の正常な運営を図るため、次の各号の事項を守らなければならない。
  1. 常に健康に留意して、明朗溌剌とした態度で就業すること
  2. 自己の職務は正確かつ迅速に処理し、効率化を図ること
  3. 正当な理由なく、業務上の指示・命令を拒否しないこと

    (中略)
  1. 職場の整理整頓に努め、常に清潔に保つようにすること
  2. 他人の職務を妨害し、または職場の風紀秩序を乱さないこと
  3. 前各号のほか、これに準ずる従業員としてふさわしくない行為をしないこと


【別条文として定めるべき項目】

(パソコン、電子メール、インターネットの利用)
第○条  従業員はパソコン、電子メール、インターネットを使用する際には、次の各号の事項を守らなければならない。
  1. 就業時間の内外を問わず、業務に関係がない目的でパソコン、電子メール、インターネットを使用しないこと

    (中略)
  1. パソコン、電子メール、インターネットの利用に伴う誓約書の提出を求められた場合は、速やかに提出すること
(セクシュアル・ハラスメントの禁止)
第○条 従業員は、就業環境が損なわれる次の行為、言動を行なってはならない。
  1. 性的な関心(執拗な誘い等)を示すこと

    (中略)
  1. 前各号のほか、これに準ずる行為、言動を行なうこと
(個人情報保護)
第○条  会社に所属する者(正社員、契約社員等の名称を問わず、会社の組織内にある者)は、個人情報の保護につき、次の事項を守らなければならない。
  1. 会社内で知り得たいかなる個人情報についても、機密として取扱いに細心の注意を払い、第三者への開示・漏洩等の行為を行なわないこと

    (中略)
  1. 個人情報の漏洩または漏洩につながるおそれのある事態を発見した場合は、速やかに所属長に報告すること
※その他、パワーハラスメント、妊娠・出産に対するハラスメント等についても整備する。

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。