ビジネスわかったランド (人事・労務)

賃金制度と給与計算

基本給と各種手当
賃金の構成は、各会社に委ねられている。ここでは、賃金の構成の一般的な考えかたについて説明する。

(1)賃金の構成

賃金の構成としては、たとえば次のようなパターンが考えられる。

(1)基本給のみ
(2)基本給を主として、ほかに家族手当、住宅手当などの諸手当がある

なお、基本給の名称は会社によりさまざまで、法律上の制約等はない。一般的には、「基本給」という名称が多いが、「職務給」などの会社独自の名称を付しているケースもある。

(2)基本給とは

基本給とは、賃金のすべてを構成するもの、または賃金の主な部分を構成するものである。

基本給は、各会社によってベースとなる金額が決まっており、年齢、職務経歴、保有資格等により変動することがある。

ある程度の規模の会社では、従業員の年齢や等級に応じて基本給の金額表一覧を作成しているケースもあるが、中小企業の場合は、ベースとなる金額に基づき個別の事情に応じてその都度決定することも多い。いずれの方法でも何ら問題はない。

(3)基本給の定期昇給

一般的に、基本給は勤続年数に比例して上昇していく。そして、一定年齢まで上昇して頭打ちとなる傾向がみられる。

基本給の定期昇給は、法律で制度として義務づけられているものではない。ただし、就業規則等で「毎年▲千円昇給する」という制度を設けた場合は、その規定に従い、定期昇給を実施しないと就業規則違反となる。

(4)諸手当

諸手当とは、基本給以外の手当のことである。時間外手当(割増賃金)を除いて、どのような手当を設けるかは各会社によるが、一般的には次のような手当がある(支給条件は多くの会社で採用されているものを記載)。
◆毎月定額で支給されるもの
  1. 家族手当…扶養家族の人数に応じて決まる
  2. 住宅手当…住宅の費用(家賃、住宅ローン等)に応じて決まる
  3. 役職手当…従業員の役職に応じて決まる
  4. 通勤手当…通勤距離に応じて決まる
◆毎月変動で支給されるもの
  1. 時間外手当…残業や休日出勤をしたときに支給される。労働基準法に基づき、支給が義務づけられている
  2. シフト勤務手当…シフト勤務をしたときに、「1回▲円」というように支給される
[一般的な賃金の構成例]
      基本給      
           
    家族手当      
           
    住宅手当      
           
賃金   役職手当      
         
    通勤手当      
           
          時間外手当
         
    時間外手当   休日手当
         
          深夜手当
           

著者: 佐藤 大輔(社会保険労務士法人坂井事務所、特定社会保険労務士・行政書士)

※記述内容は、2021年10月末現在の関係法令等に基づいています。